2006年04月20日
症例紹介 ケース014 左上大臼歯部のサイナスリフト併用のインプラント同時埋入症例 その1
『サイナスリフト』これは上顎の臼歯部におけるインプラント治療を考えるときに避けて通ることのできない治療オプションの一つとも言えます。特に日本人を含むアジア系の人種の場合、そもそものオリジナルの上顎骨の高さが欧米人に比べ少ないそうです。従って歯周病などによる歯槽骨の吸収を伴っていて抜歯に至ったケースの場合、インプラント体を支える骨の量がどうしても不利になりがちになるのです。しかも上顎の骨は下顎のそれに比べて若干柔らかめであるということもあり、上顎臼歯部におけるインプラント治療が困難と言われている理由でもあるのです。
『サイナスリフト』は決してたやすい治療オプションではありません。上顎洞というもの自体が個人差の非常に大きいものでなおかつ複雑な形態をしているからです。従ってこのオプションを選択する場合は十分な知識と入念な治療計画の下に行われて初めて成功するものなのです。インプラント治療を検討される場合もその点をしっかり説明してくれる歯科医院をお勧めいたします。
今回のケースはサイナスリフトを併用してインプラントの埋入を同時に行った訳なのですが、上顎洞の形態にやや問題点があり、サイナスリフトのリフトアップ時の問題、そしてインプラントの埋入場所や方向にも制限が多く非常にスキルを要した症例でした。
<ケース014 左上大臼歯部 サイナスリフト併用インプラント同時埋入症例 その1>
まずはいつものようにCT撮影を行い、オペ部位の様子をうかがう。上顎洞内に炎症があれば粘膜の肥厚なども観察されるのです。



左上の6番のインプラント埋入予定部分のCT。幅は十分にあり、ワイドタイプのインプラントの埋入が可能なようである。長さに関してはサイナスリフトをするのであまり問題はない。オリジナルの骨も6-7mmあり、充分同時埋入には耐えうる量である。



左上7番のインプラント埋入予定部位のCT。ここも頬側に異常に張り出した骨隆起があり、この部分から自家骨を採取できそうです。幅も問題ない。骨隆起の発達からも咬合力の強さが予測され、インプラント体は一番太い直径のものを選択することが望ましいと思われます。
ただ、ここで問題なのが7番埋入予定部位の後方からすーっと立ち上がってくる後壁というか中隔っぽい骨の存在です。CTを様々な角度で分析するとちょうどたまごのような形で中隔が存在することがわかりました。
ですから、ちょっと後方へインプラントの埋入がずれるとこの中隔に当たってしまうのです。
だからといって前へ入れすぎると、ワイドなインプラントですから今度は5番と接近しすぎることになりこれもまずい。しかもインプラントとインプラントの間隔は最低でも3mmはほしい(インプラントの周囲の歯肉の環境を良好な形でととのえるため)。となると、ホントにインプラントの埋入場所が限られてくるのです。ここしか駄目って感じです。まさに『前門の虎、後門の狼』状態。。。
でもこれがオペの前にわかっていることがとても重要なのです。様々なことに対して予測がつくからです。
手術は大学病院で口腔外科の先生と共同でセデーション(鎮静状態にして少し意識のレベルを下げること)を併用して行われました。

まず切開線の設定です。頬側に張り出した骨隆起は自家骨の採取の時に利用します。切開をし、フラップをあけて頬側の薄い骨を少しずつ慎重にとっていき、上顎洞内壁のシュナイダー膜をきれいに内側に反転していきます。ここでは口腔外科の先生のまさに集中力と精神力が問われる部分です。

窓あけされた部分の内側に見えているのがシュナイダー膜。鼻で息をすると呼吸に合わせてペコペコと動きます。
そしていよいよインプラントの埋入です。ここでオペレーターが私に交代で、横から口腔外科の先生が上顎洞の中を見ながら一緒にドリリングをしていきます。後の中隔に当たらないように慎重に...。


やっとインプラントが埋入できました。7番のところは中隔に当たることなく何とか埋入できました。前方のインプラントの間隔もうまくいったようです。
その後自家骨と骨補填材をミックスしたものを上顎洞内に充填していきます(右の写真)。

縫合終了。頬側の骨隆起をとったことと、インプラントの埋入深度を調節することにより、減張切開を入れることなく粘膜を縫合することができました。

埋入後のパノラマ写真。結構埋入の時口が開きづらくて大変だったのですが、きちんと平行に埋入できていてホッとしました。埋入したインプラントは3I社製 オッセオタイトNT 直径5mm×長さ13mmが2本でした。
後はインプラントがきちんとオッセオインテグレーションをするのを待ちます。
このようなケースの場合、外科の先生、麻酔科の先生、そしてわたしたちインプラントを行う歯科医が互いに協力することで非常にレベルの高い仕事が確実にできるということを改めて実感できました。
また、これらの記録を非常にスピーディーに的確に撮影してくれた当院スタッフ(写真係)にも感謝です。
投稿者 ochan_implant : 20:53 | コメント (0) | トラックバック
2006年03月21日
症例紹介 ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1
わたしたちインプラントを行っている歯科医師は口の中を拝見するとき、歯肉などの表面的な形状とその中の骨の状態や形態が必ずしも一致していないということをよく考えています。それはもちろんそういうことをよく経験しているからなのですが、このケースも一度はインプラント埋入にはそんなに苦労しないであろうと考えていたのですが、いざCT撮影をしてみると、とんでもない状況になっていることがわかった症例です。改めてCT診断の大切さを実感したのでした。
<ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1>
まずはパノラマです。右上の5番の歯根の周りの歯槽骨が吸収しています。

同部分の拡大です。
結局動謡度も大きく、抜歯となりました。この時頬側の骨もかなり硬く保存されていましたので、抜歯後しばらく待って、治癒後にインプラントの埋入を計画していました。治癒後の状態も良好で、外からも陥没した様子もなく、さわっても硬いのです。これならGBRをしなくてもインプラントの埋入ができるだけ骨があるのだろうかと思えるほどでした。もし、口蓋側の骨が吸収されていたらGBRとの併用でも埋入可能かなと考えていました。そこでCTをいつものようにオーダーして、術前の診断にかかったわけです。


すると、どうしたことか全く骨の中は空っぽ状態!外から見えていたのは見せかけの歯肉。そして外からさわって硬かったのは周りの骨だったのです。こうなるとまずはGBRを先に行うしかありません。こういう場合の骨欠損を起こしている場合、パノラマでもデンタルでもとてもわかりにくいと思います。CTはこんな時にも威力を発揮するのです。


GBRのオペの写真です。フラップをあけてみるとCT通りの大きな骨欠損が認められました。頬側の歯根部付近には大きな骨吸収があります。肉芽をきれいに除去していくとまるでサイナスリフトのオペをしているような感じです。CTからもわかるように、側面から見えている上部の骨は上顎洞の洞底壁です。これをうち破るとやっかいなのでここは慎重にきれいにしていきます。そして、いつもの用にGBRのオペを終了しました。骨欠損量が大きいので長めに治癒期間を取ることにしました。
約11ヶ月待って、再びパノラマ写真です。

骨の吸収量は高さの点では問題なさそうです。


フラップをあけてみると骨の再生が認められました。そしてインプラントの埋入です。




今回のケースの場合、患者様の希望もあり、サイナスリフトは行わず修復を図ることにしました。ただ、骨幅には全く問題なく太いインプラントを埋入することができましたのでその点は良かったと思います。しかもインプラント体が歯根型をしているので、従来のストレートタイプのインプラントの場合は太いインプラントを埋入すると根尖部分でインプラント体が露出する危険性がありましたが、この点でも歯根型のインプラントは有利であると考えられます。
あとは骨の十分な治癒と、インプラント体とのオッセオインテグレーションを起こすまで十分な治癒期間を取ることが大切だと考えています。
投稿者 ochan_implant : 21:13 | コメント (0) | トラックバック
2006年03月04日
症例紹介 ケース012 左下小臼歯の単独欠損症例 その1
最近はインプラントの単独植立ケースもずいぶんと増えてきました。これは歯を失ったときにブリッジにしてしまうよりもインプラントによる欠損補綴を選択する方が増えてきたと言うことがあります。ブリッジ→多数歯欠損→入れ歯 という悪循環を引き起こさないためにも少数歯の欠損の時から積極的にインプラントにより咬合力を負担することが重要であると私は考えます。
また、少数歯欠損の時からインプラント治療を選択することは治療コストも比較的安くすむことになりますので、是非お勧めです。
さて、今日は左下小臼歯の欠損に対してインプラント治療を選択したケースです。このケースでは以前メタルポストが入っていたのですが、歯根破折により抜歯に至った症例です。小臼歯を失う例では比較的よくあるケースだと思います。
<ケース012 左下小臼歯部の欠損症例>
このケースの場合、歯根破折により頬側の皮質骨が大きく失われていたので、いつものようにGBRを行い、頬側骨の再生を図りました。

今回も見事に頬側骨の欠損部は新しい骨が再生しています。



3i社製のオッセオタイトNTの4mmのインプラントを埋入しました。これくらいのケースだと手術時間も45分程度で終わります。
切開、縫合も簡単にすみますのでとても楽です。
隣接歯との歯軸の関係も良好な状態で埋入することができました。最近歯軸を合わせることには結構気を遣っています。
また、それを実現するためにちょっとしたテクニックもあります。それはちょっと企業秘密(?)。
さて、十分なオッセオインテグレーションのための時間をかけ、次は2次手術となります。2次手術では頬側の角化歯肉が若干少ないために、歯槽頂部分の角化歯肉を移動することにより、治療終了後のメインテナンスを行いやすくすることを図ります。


左図、歯槽頂部分には角化歯肉があるのですが、頬側にはちょっと少ない。
右図、そこでAPFを行い、頬側の角化歯肉の獲得を行う。写真はパーシャルシックネスでフラップをあけたところ。

ヒーリングアバットメントを接合し、縫合して終了。全手術時間40分。結構スムースにいけました。

ヒーリングアバットメント接合後のパノラマ写真です。
今後は補綴処置に入っていきます。
投稿者 ochan_implant : 00:48 | コメント (0) | トラックバック
2006年02月07日
症例紹介 ケース011 右上臼歯部欠損症例の2次手術
今回は先週のオペの様子をご紹介いたします。先週は見学の先生もお見えになっていて、ちょっと緊張しましたが2次手術と言うこともあって、大きなトラブルもなくなんなく終了。2次手術の場合、トラブルというとたとえばインプラント体が骨と結合していないとか考えられるのですが、実際のところ大月歯科医院ではどうなの??ということになると、ほとんど皆無です。最近のインプラントはとてもインプラントの表面性状の工夫がなされてきていて、非常に短期間に骨と結合するようになってきています。ただ、私の場合、そんなに早さを追求をしているわけではないので、インプラントの埋入時に感じるその方一人一人の骨の状態を感じ取ってきちんと治癒期間を与えていることが骨との結合を確実にしているのでは無かろうかと思います。それよりも、2次手術で困ることは他にもあるのです。いやむしろこの方が多いかもしれません。それはヒーリングアバットメントの選択です。1回法のインプラントシステムを選択しておられる先生はあまり経験のないことかもしれません。これにまつわる様々な経験を積んでF先生が思われていたような、黙々と淡々とスムースに治療が進むことになるのだと思います。
ちょっと、前置きが長かったですが、それでは今回のオペの様子です。この患者様は非常に口が小さいタイプで、オペはかなりしんどいです。写真も非常に苦労しますが、がんばっていただきました。
<ケース011 右上臼歯部欠損症例の2次手術>


頬側の歯肉に角化歯肉が無く、かつ口腔前提も浅いため、補綴後のメンテナンスが困難になると考えられましたので、口蓋側の角化歯肉を頬側へ移動し、APFを併用して行いました。左はフラップをあけているところです。
そして右側がヒーリングアバットメントを装着しているところです。ココが今回の見せ場(?)。F先生いかがでしたか?先生も何種類かアバットメントは用意しておいた方がいいですよ。

あとはいつものように縫って終わり!今日も40分ほどで終了!最近手際よくなったこともあり、昔ほど時間かからなくなってきました。いやーそれにしても写真よく撮りましたね。佐々木さん上手です!
あとは歯肉の治癒を待って約1ヶ月後に印象の作業に入ります。
ココがまた大きな山場なのですが、今回はココまでです。
F先生またこの次の行程の時に是非見学来てください。先週お貸しした本には載っていないまさに裏技のオンパレードです。
しかし、それも行わなくては対応できないケースもあるのです。お待ちしております<(_ _)>。
投稿者 ochan_implant : 00:18 | コメント (0) | トラックバック
2006年01月31日
症例紹介 ケース010 左下臼歯部の欠損ケース(その1)
今回の症例紹介は左下臼歯部欠損症例です。パノラマ上では下歯槽神経までの距離はあるのですが、ちょうど6番付近の骨幅が少なく、GBRを行ったケースです。私自身の症例を時々昔のケースと比べてみると明らかに骨のでき方が違ってきました。一つにはPRPを併用していること。そしてもう一つは縫合するときのテンションのかけ方の違いかなと...勝手に考えています。では今回のケースです。<左下臼歯部の複数歯欠損ケース(その1) GBR~埋入>

GBR前の様子です。7番付近は問題ないのですが、6番相当部の骨幅がちょっと少ないです。GBRはいつものようにDFDBAを用いました。もちろん皮質骨には何カ所か皮質骨に穴をあけておきます。
約半年後、インプラントの埋入手術を行いました。

今度は幅は充分です。


無事インプラントの埋入を行い、縫合して終了です。このようなケースは大月歯科医院でもよくあるパターンの一つです。もちろん埋入前にはCTによる術前診断を行っています。
このあとはオッセオインデレーションを待ちます。次回は2次手術となります。
投稿者 ochan_implant : 02:33 | コメント (0) | トラックバック
2006年01月20日
症例紹介 ケース009 右下臼歯部の単独歯ケース(その1)
今年に入って私の初インプラント埋入手術です。ここから約1ヶ月間毎週のようにインプラント手術がつづくのです。
私はインプラントの手術の時は完全集中のためにその患者様しか予約を取りません。そして全身全霊を傾けて(ちょっと大げさ(^_^;))、手術に望んでいます。ですからインプラントの手術を受けられる方はこの時間だけは完全に大月歯科医院はあなただけのために時間をご用意させていただいております。従って細かい気遣いも半端じゃあありません。これは手術を当医院で受けられた方だけがわかることなのです。これも大月歯科医院ができてからずっと続けてきたことです。これからも変えるつもりはありません。
それでは今日の症例をご覧に頂きます。
<右下臼歯部の単独歯ケース(その1)GBR後からの埋入>
この症例は右下臼歯部の欠損のためインプラントの埋入となったものです。本当は5番、6番が欠損なのですが、スペースの関係上、いろいろワックスアップをしてみた結果、6番のみの単独での埋入を選択いたしました。
もちろん術前にCTによる神経までの距離や骨の幅を確認しております。単独植立と言うこともあり、できるだけ幅の太いインプラントを埋入したいところです。

GBRを行う前の状態です。5番の抜歯窩が見えます。頬側の骨幅が少ないです。従ってGBRを行いました。

約半年後の今日、インプラント埋入となりました。骨幅の増加が認められます。ちょっとまだ骨補填材の粒子があり、つぶつぶとした感じですが、さわるとカリカリの状態で、インプラントの埋入には問題ありません。


直径5mmのインプラントを所定の位置に埋入し、縫合いたしました。
今後の経過もこのコーナーにて紹介いたしたいと思います。
投稿者 ochan_implant : 09:14 | コメント (2) | トラックバック
2005年12月30日
症例紹介 ケース008 上顎前歯部の骨吸収ケース
インプラント治療はそもそも始まりは下顎の左右のオトガイ孔の間への適応から始まりました。それがインプラント治療の素材や技術、骨補填材の登場などでその適応部位がどんどん広がっていったわけです。
インプラント治療を歯科医師がはじめるにあたってまず最初は下顎臼歯部で基本的な技術を習得し、上顎の臼歯部ができるようになって、最後が上顎の前歯部と言えるでしょう。なぜなら上顎の前歯部がもっとも審美性と機能性の両立が要求される治療部位だからです。
したがって上顎の前歯部のインプラント治療はインプラントロジストにとってはアドバンスな位置づけになると思います。
今回の大月歯科医院におけるインプラント治療の症例紹介は上顎前歯部のインプラントケースをご紹介したいと思います。
<上顎中切歯の破折により唇側骨の吸収を併発している症例>
いつもならパノラマ写真なのですが、前歯部はパノラマ写真はわかりにくいので今回はデンタル写真で紹介です。
初診時のデンタルです。
右側上顎中切歯が破折しているのが確認されます。左側の根尖病巣もありますね。とりあえず右側から治療を開始しました。
まずは破折歯の抜歯と同時にGBRを行い、早急に吸収した骨の再生を図る必要があります。


歯間乳頭をなるべく保存するようにフラップを形成し、骨の様子を確認します。唇側骨はバッサリなくなっていました。


不良肉芽をきれいに掻爬し、新鮮な骨面を出します。ここからGBRを行います。今回は周囲から採取した自家骨と骨補填材をブレンドし、骨の再生を促進するためにPRP(血小板を濃縮した血清)を併用しました。PRPはまた別の機会に大月歯科医院のインプラント治療を支えるもう一つの技術として紹介したいと思います。


左は骨を充填したところです。右側のトロッとしたものがPRPです。このころは直接骨の上にのっけていますが、最近はさらに改良バージョンでやってます。これがすごい成績がよい!!それはここでは企業秘密ということで(笑)。


縫合して終了です。
この状態でしばらく骨が再生してくるのを待つわけです。
約5ヶ月後骨造成もほぼ良い頃合いだと思われます。ここからは少し臼歯部とは違ったアプローチとなります。すなわち骨の次は粘膜のコントロールを行います。どうしてもGBR等の処置を行うと角化歯肉が失われて、かつ粘膜の厚みが薄くなってしまう傾向があるため(私だけなのかもしれませんが)、インプラントを埋入する前に周囲の粘膜組織の環境を整えておくわけです。後でやっても良さそうなのですが、インプラント周囲のティッシュマネージメントは天然歯とは少し違うような気がしますので、ここでは先に行いました。また、前歯部であるためなるべく傷を小さくすましたいという観点からもこの方が有利なのではと思いますがいかがでしょうか?
では5ヶ月後のGBR部位を紹介いたします。


いかがでしょう?GBR部位には骨の再生が認められます。
ちょっと前後で比べてみます。


左がGBR前、右が5ヶ月後です。
ここからCTG(結合組織移植)を行い、角化歯肉と粘膜の厚みを稼ぐようにします。


テンポラリーを参考にしながら粘膜の厚みを調整して結合組織を移植します。
ここでまた粘膜組織が治癒するのを待ちます。
約3ヶ月後、いよいよインプラントの埋入手術を行います。




ここからインプラントがオッセオインテグレーションをするのを充分待ちます。
約4ヶ月後、2次手術を行います。審美性を重視するため、ここではなるべく小さい切開でヒーリングアバットメントを接合するようにします。

歯間乳頭を再建するのに十分な量の粘膜がありましたので手術自体は非常に楽でした(^_^)v。
あとは治癒していくのを見守るだけです。時々変な治癒をしたところがあれば、時々歯肉切除しながら形を整えていきます。


ほぼ隣の中切歯の歯頸部と同じ高さになってきました。いよいよ最終アバットメントの接合です。




UCLAアバットメントをセットしたところ。
そしてテンポラリークラウンをセットします。


この状態でしばらく経過を観察し、最終補綴物へと置き換えます。
約1ヶ月後、最終補綴物をセットしました。


治療前後を比較してみます。


左が治療前。 右が治療後です。 いかがでしょうか?
この写真だけ見たらそんなに難しそうではないでしょう?でも粘膜の下の吸収した骨の状況を考えるとやはりアドバンスな症例なのです。どれだけ先を読んで治療を計画するかが大切です。
最近世の中がそうなのかもしれませんが、どうもプロセスを軽視してコスト重視なところがありますよね。医療の世界にまであまりその考えは持ち込まれたくないものです。
妙に安売りするインプラントはやはり警戒すべきなのではないでしょうか???みなさんはいかがお考えでしょう?
上顎前歯部のインプラント治療は前にも述べましたが、骨のコントロールとその上の粘膜のコントロールの両方のテクニックが要求される場合が多く、やはりどちらの処置もある程度こなすことができてはじめて可能になる治療だと思います。また、その分手間と時間がかかりますので患者様にも術者側にもある意味強い信頼がないと不可能ではないでしょうか?
大月歯科医院ではなるべく正しい治療の姿をおわかり頂いた上で治療を行いたいと考えています。ですから治療説明の時間をなるべくしっかりとっていますのでお気軽にお問い合わせください。
投稿者 ochan : 00:26 | コメント (1) | トラックバック
2005年11月30日
症例紹介 ケース007 骨はあっても角化歯肉がない!!
今回は今までとちょっとテーマが違います。今まではインプラントを埋入するための骨の回復ということが大きなテーマでした。これは大月歯科医院でのインプラント治療の中の大きな柱の一つとなっています。そして今回のテーマはインプラント周囲の組織マネージメントで特に『角化歯肉』ということにスポットライトを当てます。これも大月歯科医院におけるインプラント治療の中の大きな柱の一つです。インプラント治療ではインプラント補綴物の設計も大きな予後を左右する因子の一つですが、インプラントの周りの骨や角化歯肉のマネージメントでも大きく予後を左右します。ですから、大月歯科医院ではこれらのことを十分配慮して治療を進めているため、はっきり言って時間と手間がかかります。ですから今月何本!などと予定を立てては進めない部分もあるのです。そして私自身がすべて行いますので、手にかけられる症例には自ずから限界があり、これらを越えて行うことは治療レベルの低下につながると考えていますので、時々治療をお断りしてしまうこともありますが、その点をご配慮くださいね<(_ _)>。
<骨はあっても角化歯肉がなく、遊離歯肉移植により角化歯肉を獲得した症例>
さて、本題に入りましょう!患者様は女性で、右下臼歯部の咬合の回復を主訴として来院されました。

初診時のパノラマです。かなり骨はゆとりがありそうです。抜歯してそのままだったとか。下手な義歯を入れて骨吸収を起こしていなかったのがかえって良かったのでしょうね。しかし、長期歯牙喪失により、角化歯肉はかなり消失していました。
角化歯肉が頬側にはほとんど無い。
とりあえず、通法通りインプラントを埋入しました。もちろんCTによる術前診査は行っています。


このようにオリジナルの骨に恵まれているケースにお目にかかれることは稀ですよね。

埋入時のパノラマ写真です。一応オリジナルの骨への埋入であること、そして埋入時の初期固定が良好であったことから、治癒期間は約3ヶ月としました。
さてここからがこのケースでのテーマとなるところです。治癒期間中右下6番のインプラントのヒーリングキャップが露出してしまいましたが、感染は認められず治癒経過は良好であったため、2次手術に踏み切りました。しかし、そのせいもあって頬側に角化歯肉はなく、このままではたとえ上部構造ができたとしても、患者自身のプラークコントロールや、感染への抵抗性が低くなってしまいます。従ってこの場合では遊離歯肉移植により、角化歯肉を獲得することにしました。


2次手術時の写真です。角化歯肉は同側の口蓋歯肉から採取します。

手術後の治癒状況です。上の写真と比べてみてください。もりもり角化歯肉ができています。
こうしてインプラント周囲の角化歯肉を獲得してあげることでインプラント治療の永続性を高めているわけです。
この後、最終補綴物の作成へと続いていきます。



このケースでは角化歯肉の獲得法として『遊離歯肉移植』という方法を使いました。
ただし、ある程度使えそうな角化歯肉がインプラント周囲組織にあるときは、APF(根尖側移動術)により、インプラント周囲の角化歯肉獲得を行います。場合によりけりと言うことですよね(^o^)
今回もつたない大月歯科医院の症例にお付き合いくださりありがとうございました。<(_ _)>
よろしければご意見ご感想などもお寄せください。インプラント治療をお考えの方、今治療を行っておられる方、そしてインプラント治療に熱い情熱を持って取り組んでおられる先生方!一緒にがんばりましょう!!(^^)/
投稿者 ochan : 23:28 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月29日
症例紹介 ケース006 GBRで作られた骨の経過
今回は単純にGBRで作られた骨にインプラントを埋入したケースなのですが、ちょっと視点を変えてGBRで作られた骨っていつ頃本当に自分のものになるのだろう...ということを考えていた頃に遭遇した症例です。このころはまだ当院では症例写真をアナログのカメラで撮って、プリントアウトしたものをスキャナーで取り込むという、今から思えば気が変になるような作業をしていたことを思い出します。もちろん取り込みは旧メンバーがやってくれていたのですが、ご苦労様でしたと言いたい気分です。それでは今回もつたない大月歯科医院のケースにお付き合いください。
<GBRで作られた骨が非常に柔らかく、オッセオインテグレートのための期間を長くした症例>
女性の方で左下臼歯部のカリエスで抜歯となった。ブリッジを希望されなかったので説明を行いインプラントによる回復を試みることとした。

初診時パノラマです。左下7番のカリエスによる根破折により、抜歯となりました。
この症例では抜歯即時GBRという方法を選択いたしました。
その理由は
1.抜歯理由がカリエスであり、GBRを行う部分の骨の感染が無い。(PやPerでの抜歯では即時GBRはリスクが高いので当院では行いません。)
2.GBR部位の範囲が少なく、閉鎖が行いやすい。
ということだったと思います。


左が抜歯直後で、右は肉芽をきれいにとって新鮮骨を出したところです。


骨補填材(DFDBA)を入れて、メンブレンでスペースメイキング。このメンブレンがミソなんですが、これは企業秘密と言うことで...すみません<(_ _)>

GBR後に撮ったパノラマです。



6ヶ月ほど経過してインプラントの埋入を行いました。しかし!!骨が柔らかいのです。(手で回るくらい!!)どうしようかと一瞬悩みましたが、オリジナルの骨の部分の中隔部分の骨で少し止まったのでインプラントを埋入しました。でも柔らかいのがとても気になって治癒期間を長めにしましょうと患者様には説明し、治癒を待ちました。


8ヶ月待ちました(^^;)。理由は特にはありません。とりあえず倍待てば何とかなるかな?という感じだったと思います。今ならいろいろ良い診断用の器械があるようですけどね。
2次手術ではAPFにて角化歯肉の保存を図ります。(昔の私の仕事ですのでツッコミはご勘弁を...)





治癒後最終補綴物をセットしました。
ここまではよくある話!問題はここからどう骨が変化していくのかと言うことです。もちろん2次手術の時は臨床上は骨結合していました(回らなかったと言うことです)が、パノラマでは骨梁があまりきれいに認められなかったのです。これも患者様には説明して、定期的に経過観察をさせていただくことにしました。以下はその部分のパノラマの拡大です。


左は埋入時、インプラント近心側の骨梁は不明瞭。右は治療終了時。GBRから1年6ヶ月。石灰化度は上がってるようです。当たり前ですけど...

さらに3年後(GBRから4年目)ちょっとわかりにくいかもしれませんがほぼきれいに骨梁らしくなってます。完全に自分の自家骨として置き換わるのはこれくらいかかると言うことでしょうね。
患者様のご協力の甲斐もあり、現在もこのインプラントは問題なく患者様のお口の中でがんばって働いてくれています。
インプラントはいわば私の子供達のようで、いつもそそうしていないかと思いをはせております。
その後どこかの本でGBRの骨が自家骨に置き換わるのは3年ほどかかるというのを読んだことがありますが、なるほど、納得です...
お付き合いありがとうございました<(_ _)>
投稿者 ochan : 00:42 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月27日
症例紹介 ケース005 ベニアグラフト(骨移植)で骨幅の改善をしたケース
先日ベニアグラフト(骨移植)について解説いたしましたので、今回はその症例を紹介したいと思います。

初診時のパノラマです。右下の臼歯部の咬合改善が主訴でした。
パノラマ上では下歯槽神経までの距離はあるようなのですが、欠損状態を長期に放置していたため幅がとても薄くなっていました。GBRによる骨幅の改善も検討したのですが、あまりに量が多くなるため断念。
ベニアグラフト法による骨移植を行い、骨幅の改善を図ることとしました。

同側の下顎骨からブロックで骨を移植しました。3本ピンで固定してあるのがわかります。
そして、約5-6ヶ月後にインプラントの埋入手術を行いました。


左側はフラップをあけた状態です。移植骨を固定したピンが認められます。このピンを除去し、移植骨が十分に生着しているのを確認後、肉芽組織等をきれいに除去し(インプラントのオッセオインテグレーションを妨げるおそれがあるから)、直径5mmのインプラントを埋入することができました。この時無理矢理力を入れすぎたドリリング、あるいは埋入時のトルクのかけ方を行わないよう注意する必要があります。

インプラント埋入時のパノラマ写真。
そして、オッセオインテグレーションの期間を充分待ってから、補綴処置へと入っていきます。



今後の課題は廷出している右上7番のマネージメントでしょうね。
投稿者 ochan : 09:33 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月24日
症例紹介 ケース004 サイナスリフトのケース その1
上顎の臼歯部にインプラント治療を希望されたケースです。

パノラマを撮影して骨の量をだいたい見当をつけてみると...微妙です。10mmなさそうです。
しかも下顎骨はしっかりしていて、対合する下顎の大臼歯、かなり力強そうです(^^;)
通常通り、セットアップ模型を作成し、ステント作成、CTにて多方向からの検討をしてみることにしました。
大月歯科医院ではCTの術前診査は必ず行うことにしています。
逆にCT撮影ができないもしくは撮影に同意されない方のインプラント治療はお断りしています。これは『安心・確実なインプラント』を追求する当院の方針に反するからです。



CTの結果、骨の幅は問題なさそうですが、高さがやはり少なそうです。最高9mm,低いところでは8mmの高さしかありません。患者様ともよくお話をさせていただき、サイナスリフトを治療のオプションとして採択することにいたしました。
手術は岡山大学歯学部の口腔外科の先生と共同で行いました。だから手術中の全身管理も安心ですし、私たち外科医としても手術に集中できるところがいい点です。それに加えて手術を受けられる方の負担もかなり軽減されます。手術中の痛みなど全くありません。
上顎洞頬側よりアプローチ。
シュナイダー膜がきれいに見えています。
比較的自家骨が多く採取できたのでこれを利用し、上顎洞内に骨の造成を図ります。


予定通りインプラントの埋入も行いました。

手術直後のパノラマです。長さ15mmのインプラントを埋入しました。従って約7-8mmの高さを挙上したことになります。これはソケットリフトでは不可能な量だと思います。
<1ヶ月後の経過観察>

術後1ヶ月のパノラマです。
少しずつレントゲンにリフトアップされた部分が見えるようになってきています(拡大図の矢印の部分)。
経過は順調で、今後の治癒経過が楽しみです。
投稿者 ochan : 17:38 | コメント (0) | トラックバック
症例紹介 ケース003 サイナスリフトのケース
サイナスリフトとソケットリフトのことを紹介しましたのでここでは実際のケースをご紹介いたします。
このケースはサイナスリフトとインプラントの埋入を同時におこなったケースです。

初診時、右上の臼歯部にインプラントを埋入予定ですが、ちょうど6番相当部のオリジナルの骨の量が少ないですよね?

上顎洞の側壁からアプローチし、インプラントを埋入します。結局同時埋入するかどうかはオリジナルの骨の量が確保されていて、埋入したインプラントがちゃんと固定されるかどうかと言うことなのです。少ない量でも固定できるSISなるものが一時期話題になったことがありますが、あれは初心者は危険ですのでやめた方がいいです。『無理をしない』これが一番なのではないでしょうか?特に上顎臼歯部においてはね...

インプラントの埋入時のパノラマです。この後の経過をご紹介いたします。

↑3ヶ月後、すこーしリフトアップされてる部分がわかるようになってます。

↑6ヶ月後、かなり良くなってきました(^_^)v

↑1年後、インプラント上部にリフトアップされた上顎洞底がはっきりと確認できるようになりました。



やっと最終補綴物が完成です。埋入時からすると約1年10ヶ月。これは下顎骨の場合からするとかなり長いです。それだけ上顎洞内への骨の造成は時間がかかると言うことでしょうね。骨のでき方は下顎と上顎は違う!と私は思います。
さてこの後さらに経過はどうなっているのか???これも重要ですよね?ではご覧ください。

↑サイナスリフトから約5年経過後のパノラマです。骨造成部分は安定しています(^_^)v

↑そしてこれが最新版のパノラマ、サイナスリフトから約6年経過です。
サイナスリフトはこのようにすべてうまくいくとは限りません。それなりにリスクが伴います。それはソケットリフトとて同じことです。大切なことはいかにリスク管理をきちんとおこなった上でおこなわれているかと言うことではないでしょうか?
インプラント治療は値段だけで決まるものではありません。決して治療費だけで選択をおこなわないよう。きちんと担当のドクターに相談をおこない、インフォームドコンセントを確実に行う歯科医院での治療をお勧めいたします。
え? 大月歯科医院はって?
もちろん大丈夫ですよ!!(^_^)v
投稿者 ochan : 12:55 | コメント (1) | トラックバック
2005年11月16日
症例紹介 ケース001 その3
さて今回は1次手術が終わって、治癒期間(約3-4ヶ月)終了後にインプラントの上部構造を作っていく上で大切な、土台の部分となるところをつないでいく行程からです。一般にこの行程のことを2次手術と言います。
2次手術で大月歯科医院で重要視しているところは、単にアバットメントの部分の頭出しをすることにとどまらず、より安定したインプラント周囲組織を獲得することです。ひいてはこのことがインプラント治療の永続性を左右する因子となると考えるからです。
歯周病の勉強会で有名なJIADS(ジアズ)で勉強されている先生方ならおわかりですよね(^o^)。実は私もJIADSクラブ会員ですので...(^_^)v
今回の症例では比較的角化歯肉が歯槽堤上部にありましたのでこの部分を最大限利用していくことにしました。

APFです。見た目はすごいですが、ちゃんとサージカルパックをしますので痛くはありません(^_^)v
その後周囲組織の治癒を待ってから印象を行い、模型を作成いたします。


写真はTEKです


TEKの装着
この状態で少しずつインプラントにローディング(咬合力をかけ始めること)を行い、リハビリを行います。そして最終補綴物の作成へ!




最近はハイブリッドも良いなあと思っています


最終補綴物の装着

術後パノラマ写真
この後はやはり当院のメンテナンスプログラムによって定期検診を行っていきます。
お疲れさまでした!!
投稿者 ochan : 00:35 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月14日
症例紹介 ケース002
ケース002 インプラント前に骨造成を行いブリッジを避けたケースこのケースもケース001とよく似たケースです。
ここでは骨造成後からの治療の流れに重点を置いて紹介いたします。



ケース001と同様に、骨造成後セットアップ模型からステントを作成。



CTによる安全なインプラント埋入計画を作成します。この作業は当院ではどの症例に対しても行っています。

術前の予定通りに埋入されたインプラント

埋入後は十分な治癒期間(3-4ヶ月)をおいてから2次手術を行い、仮の歯を入れます。
いわばできあがった骨やインプラントに対して、そして長い間歯のなかった患者様のためのリハビリテーションだと当医院では考えています。
こうすることにより、より確実にインプラントで回復した部分が機能を発揮することを確認しています。



インプラント周囲組織の安定と、仮の歯の調子に問題なく機能が発揮されていることが確認でき次第、最終補綴物の作成に移ります。
そしていよいよ最終補綴物のセットとなります。長い間お疲れさまでした。




インプラント周囲には十分な骨量と、角化歯肉等の周囲組織が再構築されています。
これらのことはこの先のインプラントの『永続性』に関わる重要なファクターであると当医院では考えています。
当然それを行うための様々なテクニックがあるのですが...
このあとは当医院でのアフターケア・プログラムによって定期検診を行っていきます。
何事もやりっ放しではいけませんよね。当医院では治療後のケアもしっかり行うようにしておりますので、ご安心ください。
投稿者 ochan : 00:47 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月13日
症例紹介 ケース001 その2
前回、骨の増生を行いインプラント埋入に必要な骨幅を確保しました。今回はセットアップ模型を作成しステント作成に移ります。


必ずセットアップ模型で最終的な歯のイメージを確認して、患者様にも見ていただきます。
→これに基づいてCT撮影用のガイド(ステントといいます)を作成します。この作成もいろいろ試行錯誤した上での改良点が多数あります。


完成したステント
→CTを撮影して埋入するインプラントの計画を立てます。



CTのデータを使って下歯槽神経までの深さや骨幅、埋入の方向等を検討します。
こうすることによってより安全なインプラントの治療が可能になります。
こうしてはじめてインプラントの埋入手術となります。

手術後のパノラマ写真です。
次回はインプラント埋入後の2次手術です。
投稿者 ochan : 23:44 | コメント (0) | トラックバック
症例紹介 ケース001 その1
<長期ブリッジケースからのインプラント前の骨造成>一番よく遭遇するケースです。ブリッジは力学的にもその支台となる歯への負担が大きいのでさらに欠損歯が歯根破折等の原因で増えることになります。しかし、それ以上にインプラント治療を行う上で問題となるのは長い間歯がないために、骨がやせてしまってインプラントを埋入するスペースがなくなってしまっていることです。
その昔、私がインプラント治療を勉強し始めた頃ドイツの『ORALTRONICS社』のインプラントでは『マルチタイプインプラント』という発想で様々な骨幅にあわせたラインナップで対応していましたが、GBR等の骨を再生するテクニックが一般的になるとともにその意義は現在薄れてしまっているように思えます。でも当時は画期的な考えだったのです。では現在大月歯科医院ではどのように対応しているのかを紹介いたします。



左下の7番がカリエスで抜歯のケースです。7番もさることながら、ダミー部分の骨吸収が著明なのが上から模型を見るとわかります。あきらめてブリッジをさらに延長するのは避けたいですね。


ダミー部分(赤色)はかなり幅が少ないです。6番ダミー部分は吸収しています。
→そこで7番抜歯後、ダミー部分の骨の再生を行って、インプラント治療に適した状態に周囲組織をととのえることにしました。


約6ヶ月後。明らかに幅が増えています。ここからはじめてインプラントの埋入ポイントが決まります。
次回はセットアップ模型からの外科用ステントの作成へと進みます。