2006年03月21日

症例紹介 ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1

わたしたちインプラントを行っている歯科医師は口の中を拝見するとき、歯肉などの表面的な形状とその中の骨の状態や形態が必ずしも一致していないということをよく考えています。それはもちろんそういうことをよく経験しているからなのですが、このケースも一度はインプラント埋入にはそんなに苦労しないであろうと考えていたのですが、いざCT撮影をしてみると、とんでもない状況になっていることがわかった症例です。改めてCT診断の大切さを実感したのでした。

<ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1>
まずはパノラマです。右上の5番の歯根の周りの歯槽骨が吸収しています。
s-1014_000311p.jpg
s-1014_000311p_02.jpg同部分の拡大です。
結局動謡度も大きく、抜歯となりました。この時頬側の骨もかなり硬く保存されていましたので、抜歯後しばらく待って、治癒後にインプラントの埋入を計画していました。治癒後の状態も良好で、外からも陥没した様子もなく、さわっても硬いのです。これならGBRをしなくてもインプラントの埋入ができるだけ骨があるのだろうかと思えるほどでした。もし、口蓋側の骨が吸収されていたらGBRとの併用でも埋入可能かなと考えていました。そこでCTをいつものようにオーダーして、術前の診断にかかったわけです。
s-1014_041224ct_01.jpgs-1014_041224ct_02.jpg
すると、どうしたことか全く骨の中は空っぽ状態!外から見えていたのは見せかけの歯肉。そして外からさわって硬かったのは周りの骨だったのです。こうなるとまずはGBRを先に行うしかありません。こういう場合の骨欠損を起こしている場合、パノラマでもデンタルでもとてもわかりにくいと思います。CTはこんな時にも威力を発揮するのです。
s-1014_050207_01.jpgs-1014_050207_02.jpg
GBRのオペの写真です。フラップをあけてみるとCT通りの大きな骨欠損が認められました。頬側の歯根部付近には大きな骨吸収があります。肉芽をきれいに除去していくとまるでサイナスリフトのオペをしているような感じです。CTからもわかるように、側面から見えている上部の骨は上顎洞の洞底壁です。これをうち破るとやっかいなのでここは慎重にきれいにしていきます。そして、いつもの用にGBRのオペを終了しました。骨欠損量が大きいので長めに治癒期間を取ることにしました。

約11ヶ月待って、再びパノラマ写真です。
s-1014_060106p.jpg
骨の吸収量は高さの点では問題なさそうです。
s-1014_060223_01.jpgs-1014_060223_02.jpg
フラップをあけてみると骨の再生が認められました。そしてインプラントの埋入です。
s-1014_060223_03.jpgs-1014_060223_04.jpg
s-1014_060223p.jpg
s-1014_060223p_02.jpg
今回のケースの場合、患者様の希望もあり、サイナスリフトは行わず修復を図ることにしました。ただ、骨幅には全く問題なく太いインプラントを埋入することができましたのでその点は良かったと思います。しかもインプラント体が歯根型をしているので、従来のストレートタイプのインプラントの場合は太いインプラントを埋入すると根尖部分でインプラント体が露出する危険性がありましたが、この点でも歯根型のインプラントは有利であると考えられます。
あとは骨の十分な治癒と、インプラント体とのオッセオインテグレーションを起こすまで十分な治癒期間を取ることが大切だと考えています。

投稿者 ochan_implant : 21:13 | コメント (0) | トラックバック