2005年12月30日

症例紹介 ケース008 上顎前歯部の骨吸収ケース

インプラント治療はそもそも始まりは下顎の左右のオトガイ孔の間への適応から始まりました。それがインプラント治療の素材や技術、骨補填材の登場などでその適応部位がどんどん広がっていったわけです。
インプラント治療を歯科医師がはじめるにあたってまず最初は下顎臼歯部で基本的な技術を習得し、上顎の臼歯部ができるようになって、最後が上顎の前歯部と言えるでしょう。なぜなら上顎の前歯部がもっとも審美性と機能性の両立が要求される治療部位だからです。
したがって上顎の前歯部のインプラント治療はインプラントロジストにとってはアドバンスな位置づけになると思います。
今回の大月歯科医院におけるインプラント治療の症例紹介は上顎前歯部のインプラントケースをご紹介したいと思います。

<上顎中切歯の破折により唇側骨の吸収を併発している症例>
いつもならパノラマ写真なのですが、前歯部はパノラマ写真はわかりにくいので今回はデンタル写真で紹介です。
s-1255_040221d.jpg初診時のデンタルです。
右側上顎中切歯が破折しているのが確認されます。左側の根尖病巣もありますね。とりあえず右側から治療を開始しました。
まずは破折歯の抜歯と同時にGBRを行い、早急に吸収した骨の再生を図る必要があります。
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歯間乳頭をなるべく保存するようにフラップを形成し、骨の様子を確認します。唇側骨はバッサリなくなっていました。
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不良肉芽をきれいに掻爬し、新鮮な骨面を出します。ここからGBRを行います。今回は周囲から採取した自家骨と骨補填材をブレンドし、骨の再生を促進するためにPRP(血小板を濃縮した血清)を併用しました。PRPはまた別の機会に大月歯科医院のインプラント治療を支えるもう一つの技術として紹介したいと思います。
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左は骨を充填したところです。右側のトロッとしたものがPRPです。このころは直接骨の上にのっけていますが、最近はさらに改良バージョンでやってます。これがすごい成績がよい!!それはここでは企業秘密ということで(笑)。
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s-1255_040517d.jpg縫合して終了です。
この状態でしばらく骨が再生してくるのを待つわけです。

約5ヶ月後骨造成もほぼ良い頃合いだと思われます。ここからは少し臼歯部とは違ったアプローチとなります。すなわち骨の次は粘膜のコントロールを行います。どうしてもGBR等の処置を行うと角化歯肉が失われて、かつ粘膜の厚みが薄くなってしまう傾向があるため(私だけなのかもしれませんが)、インプラントを埋入する前に周囲の粘膜組織の環境を整えておくわけです。後でやっても良さそうなのですが、インプラント周囲のティッシュマネージメントは天然歯とは少し違うような気がしますので、ここでは先に行いました。また、前歯部であるためなるべく傷を小さくすましたいという観点からもこの方が有利なのではと思いますがいかがでしょうか?
では5ヶ月後のGBR部位を紹介いたします。
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いかがでしょう?GBR部位には骨の再生が認められます。

ちょっと前後で比べてみます。
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左がGBR前、右が5ヶ月後です。
ここからCTG(結合組織移植)を行い、角化歯肉と粘膜の厚みを稼ぐようにします。
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テンポラリーを参考にしながら粘膜の厚みを調整して結合組織を移植します。
ここでまた粘膜組織が治癒するのを待ちます。

約3ヶ月後、いよいよインプラントの埋入手術を行います。
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ここからインプラントがオッセオインテグレーションをするのを充分待ちます。

約4ヶ月後、2次手術を行います。審美性を重視するため、ここではなるべく小さい切開でヒーリングアバットメントを接合するようにします。
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歯間乳頭を再建するのに十分な量の粘膜がありましたので手術自体は非常に楽でした(^_^)v。
あとは治癒していくのを見守るだけです。時々変な治癒をしたところがあれば、時々歯肉切除しながら形を整えていきます。
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ほぼ隣の中切歯の歯頸部と同じ高さになってきました。いよいよ最終アバットメントの接合です。
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s-1255_050712d.jpgUCLAアバットメントをセットしたところ。
そしてテンポラリークラウンをセットします。
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この状態でしばらく経過を観察し、最終補綴物へと置き換えます。

約1ヶ月後、最終補綴物をセットしました。
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治療前後を比較してみます。
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左が治療前。  右が治療後です。 いかがでしょうか?
この写真だけ見たらそんなに難しそうではないでしょう?でも粘膜の下の吸収した骨の状況を考えるとやはりアドバンスな症例なのです。どれだけ先を読んで治療を計画するかが大切です。
最近世の中がそうなのかもしれませんが、どうもプロセスを軽視してコスト重視なところがありますよね。医療の世界にまであまりその考えは持ち込まれたくないものです。
妙に安売りするインプラントはやはり警戒すべきなのではないでしょうか???みなさんはいかがお考えでしょう?

上顎前歯部のインプラント治療は前にも述べましたが、骨のコントロールとその上の粘膜のコントロールの両方のテクニックが要求される場合が多く、やはりどちらの処置もある程度こなすことができてはじめて可能になる治療だと思います。また、その分手間と時間がかかりますので患者様にも術者側にもある意味強い信頼がないと不可能ではないでしょうか?
大月歯科医院ではなるべく正しい治療の姿をおわかり頂いた上で治療を行いたいと考えています。ですから治療説明の時間をなるべくしっかりとっていますのでお気軽にお問い合わせください。

投稿者 ochan : 00:26 | コメント (1) | トラックバック