2005年11月30日
症例紹介 ケース007 骨はあっても角化歯肉がない!!
今回は今までとちょっとテーマが違います。今まではインプラントを埋入するための骨の回復ということが大きなテーマでした。これは大月歯科医院でのインプラント治療の中の大きな柱の一つとなっています。そして今回のテーマはインプラント周囲の組織マネージメントで特に『角化歯肉』ということにスポットライトを当てます。これも大月歯科医院におけるインプラント治療の中の大きな柱の一つです。インプラント治療ではインプラント補綴物の設計も大きな予後を左右する因子の一つですが、インプラントの周りの骨や角化歯肉のマネージメントでも大きく予後を左右します。ですから、大月歯科医院ではこれらのことを十分配慮して治療を進めているため、はっきり言って時間と手間がかかります。ですから今月何本!などと予定を立てては進めない部分もあるのです。そして私自身がすべて行いますので、手にかけられる症例には自ずから限界があり、これらを越えて行うことは治療レベルの低下につながると考えていますので、時々治療をお断りしてしまうこともありますが、その点をご配慮くださいね<(_ _)>。
<骨はあっても角化歯肉がなく、遊離歯肉移植により角化歯肉を獲得した症例>
さて、本題に入りましょう!患者様は女性で、右下臼歯部の咬合の回復を主訴として来院されました。

初診時のパノラマです。かなり骨はゆとりがありそうです。抜歯してそのままだったとか。下手な義歯を入れて骨吸収を起こしていなかったのがかえって良かったのでしょうね。しかし、長期歯牙喪失により、角化歯肉はかなり消失していました。
角化歯肉が頬側にはほとんど無い。
とりあえず、通法通りインプラントを埋入しました。もちろんCTによる術前診査は行っています。


このようにオリジナルの骨に恵まれているケースにお目にかかれることは稀ですよね。

埋入時のパノラマ写真です。一応オリジナルの骨への埋入であること、そして埋入時の初期固定が良好であったことから、治癒期間は約3ヶ月としました。
さてここからがこのケースでのテーマとなるところです。治癒期間中右下6番のインプラントのヒーリングキャップが露出してしまいましたが、感染は認められず治癒経過は良好であったため、2次手術に踏み切りました。しかし、そのせいもあって頬側に角化歯肉はなく、このままではたとえ上部構造ができたとしても、患者自身のプラークコントロールや、感染への抵抗性が低くなってしまいます。従ってこの場合では遊離歯肉移植により、角化歯肉を獲得することにしました。


2次手術時の写真です。角化歯肉は同側の口蓋歯肉から採取します。

手術後の治癒状況です。上の写真と比べてみてください。もりもり角化歯肉ができています。
こうしてインプラント周囲の角化歯肉を獲得してあげることでインプラント治療の永続性を高めているわけです。
この後、最終補綴物の作成へと続いていきます。



このケースでは角化歯肉の獲得法として『遊離歯肉移植』という方法を使いました。
ただし、ある程度使えそうな角化歯肉がインプラント周囲組織にあるときは、APF(根尖側移動術)により、インプラント周囲の角化歯肉獲得を行います。場合によりけりと言うことですよね(^o^)
今回もつたない大月歯科医院の症例にお付き合いくださりありがとうございました。<(_ _)>
よろしければご意見ご感想などもお寄せください。インプラント治療をお考えの方、今治療を行っておられる方、そしてインプラント治療に熱い情熱を持って取り組んでおられる先生方!一緒にがんばりましょう!!(^^)/
投稿者 ochan : 23:28 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月29日
症例紹介 ケース006 GBRで作られた骨の経過
今回は単純にGBRで作られた骨にインプラントを埋入したケースなのですが、ちょっと視点を変えてGBRで作られた骨っていつ頃本当に自分のものになるのだろう...ということを考えていた頃に遭遇した症例です。このころはまだ当院では症例写真をアナログのカメラで撮って、プリントアウトしたものをスキャナーで取り込むという、今から思えば気が変になるような作業をしていたことを思い出します。もちろん取り込みは旧メンバーがやってくれていたのですが、ご苦労様でしたと言いたい気分です。それでは今回もつたない大月歯科医院のケースにお付き合いください。
<GBRで作られた骨が非常に柔らかく、オッセオインテグレートのための期間を長くした症例>
女性の方で左下臼歯部のカリエスで抜歯となった。ブリッジを希望されなかったので説明を行いインプラントによる回復を試みることとした。

初診時パノラマです。左下7番のカリエスによる根破折により、抜歯となりました。
この症例では抜歯即時GBRという方法を選択いたしました。
その理由は
1.抜歯理由がカリエスであり、GBRを行う部分の骨の感染が無い。(PやPerでの抜歯では即時GBRはリスクが高いので当院では行いません。)
2.GBR部位の範囲が少なく、閉鎖が行いやすい。
ということだったと思います。


左が抜歯直後で、右は肉芽をきれいにとって新鮮骨を出したところです。


骨補填材(DFDBA)を入れて、メンブレンでスペースメイキング。このメンブレンがミソなんですが、これは企業秘密と言うことで...すみません<(_ _)>

GBR後に撮ったパノラマです。



6ヶ月ほど経過してインプラントの埋入を行いました。しかし!!骨が柔らかいのです。(手で回るくらい!!)どうしようかと一瞬悩みましたが、オリジナルの骨の部分の中隔部分の骨で少し止まったのでインプラントを埋入しました。でも柔らかいのがとても気になって治癒期間を長めにしましょうと患者様には説明し、治癒を待ちました。


8ヶ月待ちました(^^;)。理由は特にはありません。とりあえず倍待てば何とかなるかな?という感じだったと思います。今ならいろいろ良い診断用の器械があるようですけどね。
2次手術ではAPFにて角化歯肉の保存を図ります。(昔の私の仕事ですのでツッコミはご勘弁を...)





治癒後最終補綴物をセットしました。
ここまではよくある話!問題はここからどう骨が変化していくのかと言うことです。もちろん2次手術の時は臨床上は骨結合していました(回らなかったと言うことです)が、パノラマでは骨梁があまりきれいに認められなかったのです。これも患者様には説明して、定期的に経過観察をさせていただくことにしました。以下はその部分のパノラマの拡大です。


左は埋入時、インプラント近心側の骨梁は不明瞭。右は治療終了時。GBRから1年6ヶ月。石灰化度は上がってるようです。当たり前ですけど...

さらに3年後(GBRから4年目)ちょっとわかりにくいかもしれませんがほぼきれいに骨梁らしくなってます。完全に自分の自家骨として置き換わるのはこれくらいかかると言うことでしょうね。
患者様のご協力の甲斐もあり、現在もこのインプラントは問題なく患者様のお口の中でがんばって働いてくれています。
インプラントはいわば私の子供達のようで、いつもそそうしていないかと思いをはせております。
その後どこかの本でGBRの骨が自家骨に置き換わるのは3年ほどかかるというのを読んだことがありますが、なるほど、納得です...
お付き合いありがとうございました<(_ _)>
投稿者 ochan : 00:42 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月27日
症例紹介 ケース005 ベニアグラフト(骨移植)で骨幅の改善をしたケース
先日ベニアグラフト(骨移植)について解説いたしましたので、今回はその症例を紹介したいと思います。

初診時のパノラマです。右下の臼歯部の咬合改善が主訴でした。
パノラマ上では下歯槽神経までの距離はあるようなのですが、欠損状態を長期に放置していたため幅がとても薄くなっていました。GBRによる骨幅の改善も検討したのですが、あまりに量が多くなるため断念。
ベニアグラフト法による骨移植を行い、骨幅の改善を図ることとしました。

同側の下顎骨からブロックで骨を移植しました。3本ピンで固定してあるのがわかります。
そして、約5-6ヶ月後にインプラントの埋入手術を行いました。


左側はフラップをあけた状態です。移植骨を固定したピンが認められます。このピンを除去し、移植骨が十分に生着しているのを確認後、肉芽組織等をきれいに除去し(インプラントのオッセオインテグレーションを妨げるおそれがあるから)、直径5mmのインプラントを埋入することができました。この時無理矢理力を入れすぎたドリリング、あるいは埋入時のトルクのかけ方を行わないよう注意する必要があります。

インプラント埋入時のパノラマ写真。
そして、オッセオインテグレーションの期間を充分待ってから、補綴処置へと入っていきます。



今後の課題は廷出している右上7番のマネージメントでしょうね。
投稿者 ochan : 09:33 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月26日
GBRは万能か? ベニアグラフトという選択肢について
今回の話題は『ベニアグラフト』です。
インプラントの埋入に必要な骨の幅がないとき、普通GBRという選択肢が一般的です。
しかし、その足らない幅が非常に多く、なおかつ多数の部位に及んでいたら...
GBRの適用される範囲をやや逸脱してきます。もちろんここでもスーパーテクニックを持った外科医ならばGBRでも可能でしょうね。しかしやはり普通、限界があります。
この時選択肢としてあげられる方法が『ベニアグラフト』なのです。この方法は自分の骨の他の部分からブロックで骨を採取してきて、ブロックごと幅の少ない部分に移植する方法です。
下の顎の場合、臼歯部後方の比較的骨の多くある部分から採取されてくることが多いです。また、オトガイ部からも採取されてくる場合もありますが、日本人の場合はあまりとれないことが多いようです。

ベニアグラフトのテクニックにより下顎の骨幅を増やしているところ。
この方法の利点はGBRに比べて確実に骨幅を増やすことが可能であると言うことでしょう。なんといっても100%自家骨ですから。
また、近日中にこのサイトでもベニアグラフトを行いインプラントを埋入した症例をご紹介いたします。
大月歯科医院では様々な症例に対してより安全で確実な方法を選択できるよう、より詳しい診断を行って対応を行っています。インプラント治療をお考えの方は是非ご相談ください。
投稿者 ochan : 00:03 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月24日
症例紹介 ケース004 サイナスリフトのケース その1
上顎の臼歯部にインプラント治療を希望されたケースです。

パノラマを撮影して骨の量をだいたい見当をつけてみると...微妙です。10mmなさそうです。
しかも下顎骨はしっかりしていて、対合する下顎の大臼歯、かなり力強そうです(^^;)
通常通り、セットアップ模型を作成し、ステント作成、CTにて多方向からの検討をしてみることにしました。
大月歯科医院ではCTの術前診査は必ず行うことにしています。
逆にCT撮影ができないもしくは撮影に同意されない方のインプラント治療はお断りしています。これは『安心・確実なインプラント』を追求する当院の方針に反するからです。



CTの結果、骨の幅は問題なさそうですが、高さがやはり少なそうです。最高9mm,低いところでは8mmの高さしかありません。患者様ともよくお話をさせていただき、サイナスリフトを治療のオプションとして採択することにいたしました。
手術は岡山大学歯学部の口腔外科の先生と共同で行いました。だから手術中の全身管理も安心ですし、私たち外科医としても手術に集中できるところがいい点です。それに加えて手術を受けられる方の負担もかなり軽減されます。手術中の痛みなど全くありません。
上顎洞頬側よりアプローチ。
シュナイダー膜がきれいに見えています。
比較的自家骨が多く採取できたのでこれを利用し、上顎洞内に骨の造成を図ります。


予定通りインプラントの埋入も行いました。

手術直後のパノラマです。長さ15mmのインプラントを埋入しました。従って約7-8mmの高さを挙上したことになります。これはソケットリフトでは不可能な量だと思います。
<1ヶ月後の経過観察>

術後1ヶ月のパノラマです。
少しずつレントゲンにリフトアップされた部分が見えるようになってきています(拡大図の矢印の部分)。
経過は順調で、今後の治癒経過が楽しみです。
投稿者 ochan : 17:38 | コメント (0) | トラックバック
症例紹介 ケース003 サイナスリフトのケース
サイナスリフトとソケットリフトのことを紹介しましたのでここでは実際のケースをご紹介いたします。
このケースはサイナスリフトとインプラントの埋入を同時におこなったケースです。

初診時、右上の臼歯部にインプラントを埋入予定ですが、ちょうど6番相当部のオリジナルの骨の量が少ないですよね?

上顎洞の側壁からアプローチし、インプラントを埋入します。結局同時埋入するかどうかはオリジナルの骨の量が確保されていて、埋入したインプラントがちゃんと固定されるかどうかと言うことなのです。少ない量でも固定できるSISなるものが一時期話題になったことがありますが、あれは初心者は危険ですのでやめた方がいいです。『無理をしない』これが一番なのではないでしょうか?特に上顎臼歯部においてはね...

インプラントの埋入時のパノラマです。この後の経過をご紹介いたします。

↑3ヶ月後、すこーしリフトアップされてる部分がわかるようになってます。

↑6ヶ月後、かなり良くなってきました(^_^)v

↑1年後、インプラント上部にリフトアップされた上顎洞底がはっきりと確認できるようになりました。



やっと最終補綴物が完成です。埋入時からすると約1年10ヶ月。これは下顎骨の場合からするとかなり長いです。それだけ上顎洞内への骨の造成は時間がかかると言うことでしょうね。骨のでき方は下顎と上顎は違う!と私は思います。
さてこの後さらに経過はどうなっているのか???これも重要ですよね?ではご覧ください。

↑サイナスリフトから約5年経過後のパノラマです。骨造成部分は安定しています(^_^)v

↑そしてこれが最新版のパノラマ、サイナスリフトから約6年経過です。
サイナスリフトはこのようにすべてうまくいくとは限りません。それなりにリスクが伴います。それはソケットリフトとて同じことです。大切なことはいかにリスク管理をきちんとおこなった上でおこなわれているかと言うことではないでしょうか?
インプラント治療は値段だけで決まるものではありません。決して治療費だけで選択をおこなわないよう。きちんと担当のドクターに相談をおこない、インフォームドコンセントを確実に行う歯科医院での治療をお勧めいたします。
え? 大月歯科医院はって?
もちろん大丈夫ですよ!!(^_^)v
投稿者 ochan : 12:55 | コメント (1) | トラックバック
サイナスリフト?ソケットリフト?
インプラントの埋入に際してそこに埋入に十分な量の骨がないといけないことは今までこのコーナーでも紹介してきました。
骨量に関して特に問題となることが多いのが上顎の臼歯部(上の奥歯)です。
上顎の臼歯部にインプラントを埋入するときに問題となるのが『上顎洞』という空洞です。これは誰にでもあるのですが、大きさが問題となります。特に加齢により大きくなるとも言われています。また、歯を失うと上顎洞の一番下の面(底の部分)が下がってくるようです。当然空洞ですから、インプラントの維持のためには邪魔な存在です。
あるインプラントの勉強会に参加していたとき、聞いた話ですが、日本人の上顎臼歯部の骨の高さ(深さ)をパノラマ上で計測した平均値が12mmだそうです。これは歯が残っているときの平均値ですから、当然歯周病あるいはそれ以外の原因で歯を喪失した場合、骨の量は減るわけで、12mm以上骨の高さが保存されているケースは非常に稀となるわけです。12mmというのはある意味ボーダーラインな長さで、私たちインプラントを行う立場とすると是非とも確保したい埋入深度量なのです(特に大臼歯部は)。では自然の歯はどうなっているのか?自然の歯はねじのような形をしているわけではありませんから、上手に骨の中に埋まっているわけですね(上顎洞という上あごの空洞を避けて..)。インプラントの形も天然歯のような形のものができれば、このボーダーももう少しすなくてもすむと思うのですが...。
さて、実際骨の量が少ないとき、どうすればいいのか?当然骨の量を増やすしかないわけです。そこで現在使用されているインプラント埋入のテクニックが『サイナスリフト』と『ソケットリフト』です。
<ソケットリフトについて>
ソケットリフトは比較的オリジナルの骨の量がある場合に用いられる手法でオリジナルの骨量が10-12mm程度の場合におこなわれます。なぜならこの手法の場合骨を増やす量に限界があるからです。もちろんものすごいテクニックを持ったスーパーデンティストなら限界はないのかもしれませんが(笑)。


このように下の方から骨補填材や自家骨を押し込んでいって骨量をかさ上げします。正直言ってブラインドテクニックなので難しいです。好きな人は好きなんですけどね(^^;)
<サイナスリフトについて>
サイナスリフトはさらに骨の量が少ない場合におこなわれる手法で、オリジナルの骨が10mm以下の場合におこなわれます。さらにインプラントの埋入時期もオリジナルの骨の量が5-6mm以上の場合は同時埋入(インプラントの埋入とサイナスリフトを同時におこなう)をおこなうこと(Simultaneous Approach)もありますし、それ以下(5mm以下)の場合はサイナスリフトをおこなって後骨の造成が確認されてからインプラント埋入をおこなう(Staged Approach)ことがあります。


上顎洞の側壁からアプローチします。


骨ができるとインプラント埋入です。
この方法は外科的には明示下で行えるのでソケットよりは私好きなんですけどね。
いずれにせよこのような方法で上顎の臼歯部の骨の高さを増してからインプラント埋入はおこなわれます。
もちろん、あまり自分の骨をなくしすぎないのが一番ですけどね。
歯を残すことに固執するあまり骨まで失ってしまって後の処置が難しくなるのは考えものではないかと時々思うのです。
投稿者 ochan : 12:25 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月17日
GBRはなぜ必要なのか?
私のインプラントの症例の話の中でよくGBRという言葉が出てきます。
GBRとはGuided Bone Regeneration の略称です。
これは難しい言葉(?)で説明すると、増殖スピードが速い上皮細胞を阻害し、上皮細胞の組織内部への進入をブロックするために設置された膜によりスペースメイキングされた部位に、骨芽細胞を誘導して骨組織を再生させる方法ということなんですが...
簡単に言うと、骨を作る細胞と皮を作る細胞では骨ができるスピードの方が遅いから、ハンデを骨の方にいっぱい与えて骨を作る細胞に勝たせてやろうということなんですよね。
ではなぜこのGBRが必要となるのでしょう??? 百聞は一見に如かずですので早速この写真をご覧ください。

左下の犬歯の部分の外側の部分の骨がごっそりなくなっています。これは歯根破折により唇側の骨が吸収してしまっているのです。これではインプラントは埋入できません。また、奥の方の(臼歯の方)骨幅も長年の歯牙の喪失により、狭くなってしまっていることがわかります。
従ってこのような場合にインプラント埋入の前処置としてGBRの処置が必要となるのです。
もちろんこの症例においても、犬歯部および臼歯部に及ぶGBRを行いました。また後日経過を紹介いたしたいと思います。
投稿者 ochan : 00:25 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月16日
症例紹介 ケース001 その3
さて今回は1次手術が終わって、治癒期間(約3-4ヶ月)終了後にインプラントの上部構造を作っていく上で大切な、土台の部分となるところをつないでいく行程からです。一般にこの行程のことを2次手術と言います。
2次手術で大月歯科医院で重要視しているところは、単にアバットメントの部分の頭出しをすることにとどまらず、より安定したインプラント周囲組織を獲得することです。ひいてはこのことがインプラント治療の永続性を左右する因子となると考えるからです。
歯周病の勉強会で有名なJIADS(ジアズ)で勉強されている先生方ならおわかりですよね(^o^)。実は私もJIADSクラブ会員ですので...(^_^)v
今回の症例では比較的角化歯肉が歯槽堤上部にありましたのでこの部分を最大限利用していくことにしました。

APFです。見た目はすごいですが、ちゃんとサージカルパックをしますので痛くはありません(^_^)v
その後周囲組織の治癒を待ってから印象を行い、模型を作成いたします。


写真はTEKです


TEKの装着
この状態で少しずつインプラントにローディング(咬合力をかけ始めること)を行い、リハビリを行います。そして最終補綴物の作成へ!




最近はハイブリッドも良いなあと思っています


最終補綴物の装着

術後パノラマ写真
この後はやはり当院のメンテナンスプログラムによって定期検診を行っていきます。
お疲れさまでした!!
投稿者 ochan : 00:35 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月15日
骨増生(GBR)には欠かせない骨補填剤
今回はインプラント埋入の前処置として欠かすことのできない、骨増生(GBRといいます)に必要不可欠な骨補填剤について説明いたします。
骨を増やすためにはどこからか余分な骨を持ってこなくてはいけません。もっとも確実な方法は『自分の骨(自家骨といいます)』を持ってくることです。この方法に勝るものは今のところ無いと思います。そのためにいろいろなところから骨を採取してくる必要があります。
よく使われる部位としては下顎骨の臼歯部やオトガイ部、そして腸骨などです。しかしとれる量には限界があります。そこで自家骨にブレンドして量を増やすときに使われるのが骨補填剤です。骨補填剤と言ってもいろいろな種類があって、その使用目的も微妙に異なっています。また、使用するドクターによっても多少見解が異なっているところもあり、ブレンドの比率や使用する補填剤の種類もちょっと『企業秘密』的な部分となっているようです。一応当院にもあるにはあるのですが、ここでは公開はいたしません(^^;)。それでは早速現在大月歯科医院でストックしている骨補填剤の紹介をしていきたいと思います。まるでボーンコレクター(?)のようですが、お付き合いください。

現在6種類ほど骨補填剤があります。
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BioResorb |
BioResorb "Macro Pore" ドイツ オラトロニクス社の製品で左のバイオリゾルブの後継製品です。最近流通するようになったもので、まだ手に入りにくい製品です。成分はやはりΒ-TCPです。 |
Bio-OSS |
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FDBA アメリカ LIFE NET社の製品でやはり臓器移植の大国だけあり、ヒトの皮質骨の凍結乾燥骨です。 |
DFDBA アメリカ LIFE NET社の製品でヒトの皮質骨の脱灰凍結乾燥骨です。 |
DEMBONE(DFDBA) アメリカ パシフィックコースト ティッシュ バンクの製品です。 ヒトの皮質骨の脱灰凍結乾燥骨です。 大月歯科医院ではこの製品を一番よく使っています。 |
いずれの製品もよく考えられていて、GBRにはなくてはならないマテリアルです。
もちろん使用方法はよく勉強して使う必要があります。あとGBR自体、ある程度の経験も必要ではないかなと思います。というのも材料だけでは治療の成果は期待できないからです。手術の手技や微妙な成分の調整など、いろいろな知識と経験が必要とされます。
もちろん、GBRにもテクニカル的な限界があります。そういうときは骨移植や骨延長などの方法も含めた治療計画が必要となるでしょう。
いずれにせよ、術前の入念な計画と、説明が必要ですので担当のドクターとのコミュニケーションが重要であることは確かでしょう。
投稿者 ochan : 05:00 | コメント (1) | トラックバック
2005年11月14日
症例紹介 ケース002
ケース002 インプラント前に骨造成を行いブリッジを避けたケースこのケースもケース001とよく似たケースです。
ここでは骨造成後からの治療の流れに重点を置いて紹介いたします。



ケース001と同様に、骨造成後セットアップ模型からステントを作成。



CTによる安全なインプラント埋入計画を作成します。この作業は当院ではどの症例に対しても行っています。

術前の予定通りに埋入されたインプラント

埋入後は十分な治癒期間(3-4ヶ月)をおいてから2次手術を行い、仮の歯を入れます。
いわばできあがった骨やインプラントに対して、そして長い間歯のなかった患者様のためのリハビリテーションだと当医院では考えています。
こうすることにより、より確実にインプラントで回復した部分が機能を発揮することを確認しています。



インプラント周囲組織の安定と、仮の歯の調子に問題なく機能が発揮されていることが確認でき次第、最終補綴物の作成に移ります。
そしていよいよ最終補綴物のセットとなります。長い間お疲れさまでした。




インプラント周囲には十分な骨量と、角化歯肉等の周囲組織が再構築されています。
これらのことはこの先のインプラントの『永続性』に関わる重要なファクターであると当医院では考えています。
当然それを行うための様々なテクニックがあるのですが...
このあとは当医院でのアフターケア・プログラムによって定期検診を行っていきます。
何事もやりっ放しではいけませんよね。当医院では治療後のケアもしっかり行うようにしておりますので、ご安心ください。
投稿者 ochan : 00:47 | コメント (0) | トラックバック
2005年11月13日
症例紹介 ケース001 その2
前回、骨の増生を行いインプラント埋入に必要な骨幅を確保しました。今回はセットアップ模型を作成しステント作成に移ります。


必ずセットアップ模型で最終的な歯のイメージを確認して、患者様にも見ていただきます。
→これに基づいてCT撮影用のガイド(ステントといいます)を作成します。この作成もいろいろ試行錯誤した上での改良点が多数あります。


完成したステント
→CTを撮影して埋入するインプラントの計画を立てます。



CTのデータを使って下歯槽神経までの深さや骨幅、埋入の方向等を検討します。
こうすることによってより安全なインプラントの治療が可能になります。
こうしてはじめてインプラントの埋入手術となります。

手術後のパノラマ写真です。
次回はインプラント埋入後の2次手術です。
投稿者 ochan : 23:44 | コメント (0) | トラックバック
症例紹介 ケース001 その1
<長期ブリッジケースからのインプラント前の骨造成>一番よく遭遇するケースです。ブリッジは力学的にもその支台となる歯への負担が大きいのでさらに欠損歯が歯根破折等の原因で増えることになります。しかし、それ以上にインプラント治療を行う上で問題となるのは長い間歯がないために、骨がやせてしまってインプラントを埋入するスペースがなくなってしまっていることです。
その昔、私がインプラント治療を勉強し始めた頃ドイツの『ORALTRONICS社』のインプラントでは『マルチタイプインプラント』という発想で様々な骨幅にあわせたラインナップで対応していましたが、GBR等の骨を再生するテクニックが一般的になるとともにその意義は現在薄れてしまっているように思えます。でも当時は画期的な考えだったのです。では現在大月歯科医院ではどのように対応しているのかを紹介いたします。



左下の7番がカリエスで抜歯のケースです。7番もさることながら、ダミー部分の骨吸収が著明なのが上から模型を見るとわかります。あきらめてブリッジをさらに延長するのは避けたいですね。


ダミー部分(赤色)はかなり幅が少ないです。6番ダミー部分は吸収しています。
→そこで7番抜歯後、ダミー部分の骨の再生を行って、インプラント治療に適した状態に周囲組織をととのえることにしました。


約6ヶ月後。明らかに幅が増えています。ここからはじめてインプラントの埋入ポイントが決まります。
次回はセットアップ模型からの外科用ステントの作成へと進みます。
投稿者 ochan : 23:30 | コメント (0) | トラックバック
最近のインプラント治療の動向
インプラント治療全般について 最近のインプラント治療の動向として、『トップダウントリートメント』という言葉がよく使われるようになりました。これは従来の入れ歯が嫌な人、あるいは調子が悪い人のためにインプラント治療を行うという『噛めること』を第1目標とした考え方とは異なります。 近年のインプラント治療では噛めることはもちろんのことですが、より元の歯に近い『審美性』と頼長くその状態が維持される『永続性』が求められるようになっているのです。
従って、まず修復すべき部位にどのような補綴物が必要なのかを考慮してから、その下のインプラント構造や、その周りの『骨を含めた周囲組織』の再生を総合的に診断し、治療を進めていく技術が要求されているのです。
大月歯科医院では開院当初より積極的にこのテーマに取り組んでおり、当院におけるインプラント治療での約85%が周囲組織の改善を行っています。
当医院のインプラント治療におけるコンセプトである『安心で確実な』インプラント治療。 ここではそのために当医院で行った実際の症例や、その技術を支える様々なマテリアルも紹介していきたいと思います。
投稿者 ochan : 23:13 | コメント (0) | トラックバック
はじめに
こんにちは 大月歯科医院 院長の大月です。 大月歯科医院のホームページではすでにインプラント治療のことについて紹介をはじめているのですが、更新の作業が少し煩雑になってきた感があるので、この度Movable Typeを使い、ブログ形式でインプラント治療について大月歯科医院で行っていること、考えていること、あるいは最新のトピックスの紹介など、インプラント専門の情報発信サイト(ちょっと大げさかな(^o^))を立ち上げてみました。
このページでは当医院のインプラント症例も含めてライブ感覚を重要視して行きたいなと思いますので、時々手術の写真もアップしても良いかなと考えています。
よろしくお願いいたします。