2006年03月04日

CTによる下歯槽神経の場所の特定について

以前このテーマをご紹介すると言いながら更新が行われていませんでした。今回は実際のCTのデータからどのように下歯槽神経の位置を特定するかと言うことをご紹介したいと思います。
下顎のインプラント治療を行うとき、もっとも気をつけないといけないのが下歯槽神経の損傷です。これを起こすと唇にわたっての知覚麻痺を起こしてしまいますので大変です。
もちろんこのリスクを避ける上で解剖学的な充分な知識も必要となることは言うまでもありません。しかし、それだけでは不十分です。昔はパノラマレントゲン写真だけを頼りにだいたいの下歯槽神経の位置までの深さ(これは埋入するインプラントの長さに影響してきます)を計算していたのですが、これがきわめてアバウトなのです。なぜならパノラマ撮影はセッティングを行う人によりその拡大倍率が様々に変化しているからです。
したがって、インプラント治療をお考えの方は、その歯科医院がCTによる術前診断を充分行っているかどうか確かめてみられるのも、安心してインプラント治療を行えるかどうかの目安の一つとなると思います。
決して『安い・早い』を基準にすることのないように。標準的な価格から著しくかけ離れているものは先日の偽造マンションの話ではありませんが、何かあるものです。
さて、CT撮影を行っているとしても、ちゃんと解析を行わないと全く意味がありません。そこで当医院で使用しているCTの解析ソフト『10DR』をご紹介いたします。昔は当医院では某有名な○○プラントというソフトを使っていましたが、下歯槽神経の同定が困難なケースが時々あって、あんまり意味無いな..と思っていたのです。ところがこの10DRはその部分を見事に解決しており、実に良くできたソフトです。このソフト、有料版(3D版)と無料版(2D-Simple)がありまして、私は有料版を持っているのですが、もっぱら最近は無料版を使用しています。実際の臨床にはそれで十分だからです。
実際のCT解析画面はこのような感じです。
s-ct_kaiseki_01.jpg
このソフトの良いところはパノラミックビューの断層ラインを自分で変えて見れるところです。今の○○プラントも可能になっているのかもしれませんが、その当時は不可能だったのです。
向かって左側のパノラマチックに見えているものがそれです。
これを断層域を少しずつ動かすと下歯槽神経の走行がよくわかるのです。わかりやすくアニメーションにしてみますとこのような感じです。
ct_kaiseki.gif
矢印が下歯槽神経ですね。こうやって神経の走行場所を特定してから、インプラント埋入場所での埋入深度の決定を行っているのです。

投稿者 ochan_implant : 08:06 | コメント (1) | トラックバック

2005年11月26日

GBRは万能か? ベニアグラフトという選択肢について

今回の話題は『ベニアグラフト』です。
インプラントの埋入に必要な骨の幅がないとき、普通GBRという選択肢が一般的です。
しかし、その足らない幅が非常に多く、なおかつ多数の部位に及んでいたら...
GBRの適用される範囲をやや逸脱してきます。もちろんここでもスーパーテクニックを持った外科医ならばGBRでも可能でしょうね。しかしやはり普通、限界があります。
この時選択肢としてあげられる方法が『ベニアグラフト』なのです。この方法は自分の骨の他の部分からブロックで骨を採取してきて、ブロックごと幅の少ない部分に移植する方法です。
下の顎の場合、臼歯部後方の比較的骨の多くある部分から採取されてくることが多いです。また、オトガイ部からも採取されてくる場合もありますが、日本人の場合はあまりとれないことが多いようです。
移植された骨がピンで固定されています
ベニアグラフトのテクニックにより下顎の骨幅を増やしているところ。
この方法の利点はGBRに比べて確実に骨幅を増やすことが可能であると言うことでしょう。なんといっても100%自家骨ですから。

また、近日中にこのサイトでもベニアグラフトを行いインプラントを埋入した症例をご紹介いたします。

大月歯科医院では様々な症例に対してより安全で確実な方法を選択できるよう、より詳しい診断を行って対応を行っています。インプラント治療をお考えの方は是非ご相談ください。

投稿者 ochan : 00:03 | コメント (0) | トラックバック

2005年11月24日

サイナスリフト?ソケットリフト?

インプラントの埋入に際してそこに埋入に十分な量の骨がないといけないことは今までこのコーナーでも紹介してきました。
骨量に関して特に問題となることが多いのが上顎の臼歯部(上の奥歯)です。
上顎の臼歯部にインプラントを埋入するときに問題となるのが『上顎洞』という空洞です。これは誰にでもあるのですが、大きさが問題となります。特に加齢により大きくなるとも言われています。また、歯を失うと上顎洞の一番下の面(底の部分)が下がってくるようです。当然空洞ですから、インプラントの維持のためには邪魔な存在です。
あるインプラントの勉強会に参加していたとき、聞いた話ですが、日本人の上顎臼歯部の骨の高さ(深さ)をパノラマ上で計測した平均値が12mmだそうです。これは歯が残っているときの平均値ですから、当然歯周病あるいはそれ以外の原因で歯を喪失した場合、骨の量は減るわけで、12mm以上骨の高さが保存されているケースは非常に稀となるわけです。12mmというのはある意味ボーダーラインな長さで、私たちインプラントを行う立場とすると是非とも確保したい埋入深度量なのです(特に大臼歯部は)。では自然の歯はどうなっているのか?自然の歯はねじのような形をしているわけではありませんから、上手に骨の中に埋まっているわけですね(上顎洞という上あごの空洞を避けて..)。インプラントの形も天然歯のような形のものができれば、このボーダーももう少しすなくてもすむと思うのですが...。

さて、実際骨の量が少ないとき、どうすればいいのか?当然骨の量を増やすしかないわけです。そこで現在使用されているインプラント埋入のテクニックが『サイナスリフト』と『ソケットリフト』です。
<ソケットリフトについて>
ソケットリフトは比較的オリジナルの骨の量がある場合に用いられる手法でオリジナルの骨量が10-12mm程度の場合におこなわれます。なぜならこの手法の場合骨を増やす量に限界があるからです。もちろんものすごいテクニックを持ったスーパーデンティストなら限界はないのかもしれませんが(笑)。
s-socket_01.jpgs-socket_02.jpg
このように下の方から骨補填材や自家骨を押し込んでいって骨量をかさ上げします。正直言ってブラインドテクニックなので難しいです。好きな人は好きなんですけどね(^^;)

<サイナスリフトについて>
サイナスリフトはさらに骨の量が少ない場合におこなわれる手法で、オリジナルの骨が10mm以下の場合におこなわれます。さらにインプラントの埋入時期もオリジナルの骨の量が5-6mm以上の場合は同時埋入(インプラントの埋入とサイナスリフトを同時におこなう)をおこなうこと(Simultaneous Approach)もありますし、それ以下(5mm以下)の場合はサイナスリフトをおこなって後骨の造成が確認されてからインプラント埋入をおこなう(Staged Approach)ことがあります。
s-sinus01.jpgs-sinus02.jpg
s-sinus03.jpg上顎洞の側壁からアプローチします。
s-sinus04.jpgs-sinus05.jpg
s-sinus06.jpg骨ができるとインプラント埋入です。
この方法は外科的には明示下で行えるのでソケットよりは私好きなんですけどね。
いずれにせよこのような方法で上顎の臼歯部の骨の高さを増してからインプラント埋入はおこなわれます。

もちろん、あまり自分の骨をなくしすぎないのが一番ですけどね。
歯を残すことに固執するあまり骨まで失ってしまって後の処置が難しくなるのは考えものではないかと時々思うのです。

投稿者 ochan : 12:25 | コメント (0) | トラックバック

2005年11月17日

GBRはなぜ必要なのか?

私のインプラントの症例の話の中でよくGBRという言葉が出てきます。
GBRとはGuided Bone Regeneration の略称です。
これは難しい言葉(?)で説明すると、増殖スピードが速い上皮細胞を阻害し、上皮細胞の組織内部への進入をブロックするために設置された膜によりスペースメイキングされた部位に、骨芽細胞を誘導して骨組織を再生させる方法ということなんですが...
簡単に言うと、骨を作る細胞と皮を作る細胞では骨ができるスピードの方が遅いから、ハンデを骨の方にいっぱい与えて骨を作る細胞に勝たせてやろうということなんですよね。

ではなぜこのGBRが必要となるのでしょう??? 百聞は一見に如かずですので早速この写真をご覧ください。
s-3128_7151.jpg
左下の犬歯の部分の外側の部分の骨がごっそりなくなっています。これは歯根破折により唇側の骨が吸収してしまっているのです。これではインプラントは埋入できません。また、奥の方の(臼歯の方)骨幅も長年の歯牙の喪失により、狭くなってしまっていることがわかります。
従ってこのような場合にインプラント埋入の前処置としてGBRの処置が必要となるのです。

もちろんこの症例においても、犬歯部および臼歯部に及ぶGBRを行いました。また後日経過を紹介いたしたいと思います。

投稿者 ochan : 00:25 | コメント (0) | トラックバック