2006年04月20日

症例紹介 ケース014 左上大臼歯部のサイナスリフト併用のインプラント同時埋入症例 その1

『サイナスリフト』これは上顎の臼歯部におけるインプラント治療を考えるときに避けて通ることのできない治療オプションの一つとも言えます。特に日本人を含むアジア系の人種の場合、そもそものオリジナルの上顎骨の高さが欧米人に比べ少ないそうです。従って歯周病などによる歯槽骨の吸収を伴っていて抜歯に至ったケースの場合、インプラント体を支える骨の量がどうしても不利になりがちになるのです。しかも上顎の骨は下顎のそれに比べて若干柔らかめであるということもあり、上顎臼歯部におけるインプラント治療が困難と言われている理由でもあるのです。
『サイナスリフト』は決してたやすい治療オプションではありません。上顎洞というもの自体が個人差の非常に大きいものでなおかつ複雑な形態をしているからです。従ってこのオプションを選択する場合は十分な知識と入念な治療計画の下に行われて初めて成功するものなのです。インプラント治療を検討される場合もその点をしっかり説明してくれる歯科医院をお勧めいたします。
今回のケースはサイナスリフトを併用してインプラントの埋入を同時に行った訳なのですが、上顎洞の形態にやや問題点があり、サイナスリフトのリフトアップ時の問題、そしてインプラントの埋入場所や方向にも制限が多く非常にスキルを要した症例でした。

<ケース014 左上大臼歯部 サイナスリフト併用インプラント同時埋入症例 その1>
まずはいつものようにCT撮影を行い、オペ部位の様子をうかがう。上顎洞内に炎症があれば粘膜の肥厚なども観察されるのです。
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左上の6番のインプラント埋入予定部分のCT。幅は十分にあり、ワイドタイプのインプラントの埋入が可能なようである。長さに関してはサイナスリフトをするのであまり問題はない。オリジナルの骨も6-7mmあり、充分同時埋入には耐えうる量である。
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左上7番のインプラント埋入予定部位のCT。ここも頬側に異常に張り出した骨隆起があり、この部分から自家骨を採取できそうです。幅も問題ない。骨隆起の発達からも咬合力の強さが予測され、インプラント体は一番太い直径のものを選択することが望ましいと思われます。
ただ、ここで問題なのが7番埋入予定部位の後方からすーっと立ち上がってくる後壁というか中隔っぽい骨の存在です。CTを様々な角度で分析するとちょうどたまごのような形で中隔が存在することがわかりました。
ですから、ちょっと後方へインプラントの埋入がずれるとこの中隔に当たってしまうのです。
だからといって前へ入れすぎると、ワイドなインプラントですから今度は5番と接近しすぎることになりこれもまずい。しかもインプラントとインプラントの間隔は最低でも3mmはほしい(インプラントの周囲の歯肉の環境を良好な形でととのえるため)。となると、ホントにインプラントの埋入場所が限られてくるのです。ここしか駄目って感じです。まさに『前門の虎、後門の狼』状態。。。
でもこれがオペの前にわかっていることがとても重要なのです。様々なことに対して予測がつくからです。

手術は大学病院で口腔外科の先生と共同でセデーション(鎮静状態にして少し意識のレベルを下げること)を併用して行われました。
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まず切開線の設定です。頬側に張り出した骨隆起は自家骨の採取の時に利用します。切開をし、フラップをあけて頬側の薄い骨を少しずつ慎重にとっていき、上顎洞内壁のシュナイダー膜をきれいに内側に反転していきます。ここでは口腔外科の先生のまさに集中力と精神力が問われる部分です。
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窓あけされた部分の内側に見えているのがシュナイダー膜。鼻で息をすると呼吸に合わせてペコペコと動きます。
そしていよいよインプラントの埋入です。ここでオペレーターが私に交代で、横から口腔外科の先生が上顎洞の中を見ながら一緒にドリリングをしていきます。後の中隔に当たらないように慎重に...。
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やっとインプラントが埋入できました。7番のところは中隔に当たることなく何とか埋入できました。前方のインプラントの間隔もうまくいったようです。
その後自家骨と骨補填材をミックスしたものを上顎洞内に充填していきます(右の写真)。
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縫合終了。頬側の骨隆起をとったことと、インプラントの埋入深度を調節することにより、減張切開を入れることなく粘膜を縫合することができました。
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埋入後のパノラマ写真。結構埋入の時口が開きづらくて大変だったのですが、きちんと平行に埋入できていてホッとしました。埋入したインプラントは3I社製 オッセオタイトNT 直径5mm×長さ13mmが2本でした。
後はインプラントがきちんとオッセオインテグレーションをするのを待ちます。

このようなケースの場合、外科の先生、麻酔科の先生、そしてわたしたちインプラントを行う歯科医が互いに協力することで非常にレベルの高い仕事が確実にできるということを改めて実感できました。
また、これらの記録を非常にスピーディーに的確に撮影してくれた当院スタッフ(写真係)にも感謝です。

[4.症例の紹介][ケース014] 投稿者 ochan_implant : 20:53 | コメント (0) | トラックバック (617)

2006年03月21日

症例紹介 ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1

わたしたちインプラントを行っている歯科医師は口の中を拝見するとき、歯肉などの表面的な形状とその中の骨の状態や形態が必ずしも一致していないということをよく考えています。それはもちろんそういうことをよく経験しているからなのですが、このケースも一度はインプラント埋入にはそんなに苦労しないであろうと考えていたのですが、いざCT撮影をしてみると、とんでもない状況になっていることがわかった症例です。改めてCT診断の大切さを実感したのでした。

<ケース013 右上小臼歯のGBR後のインプラント治療症例 その1>
まずはパノラマです。右上の5番の歯根の周りの歯槽骨が吸収しています。
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s-1014_000311p_02.jpg同部分の拡大です。
結局動謡度も大きく、抜歯となりました。この時頬側の骨もかなり硬く保存されていましたので、抜歯後しばらく待って、治癒後にインプラントの埋入を計画していました。治癒後の状態も良好で、外からも陥没した様子もなく、さわっても硬いのです。これならGBRをしなくてもインプラントの埋入ができるだけ骨があるのだろうかと思えるほどでした。もし、口蓋側の骨が吸収されていたらGBRとの併用でも埋入可能かなと考えていました。そこでCTをいつものようにオーダーして、術前の診断にかかったわけです。
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すると、どうしたことか全く骨の中は空っぽ状態!外から見えていたのは見せかけの歯肉。そして外からさわって硬かったのは周りの骨だったのです。こうなるとまずはGBRを先に行うしかありません。こういう場合の骨欠損を起こしている場合、パノラマでもデンタルでもとてもわかりにくいと思います。CTはこんな時にも威力を発揮するのです。
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GBRのオペの写真です。フラップをあけてみるとCT通りの大きな骨欠損が認められました。頬側の歯根部付近には大きな骨吸収があります。肉芽をきれいに除去していくとまるでサイナスリフトのオペをしているような感じです。CTからもわかるように、側面から見えている上部の骨は上顎洞の洞底壁です。これをうち破るとやっかいなのでここは慎重にきれいにしていきます。そして、いつもの用にGBRのオペを終了しました。骨欠損量が大きいので長めに治癒期間を取ることにしました。

約11ヶ月待って、再びパノラマ写真です。
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骨の吸収量は高さの点では問題なさそうです。
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フラップをあけてみると骨の再生が認められました。そしてインプラントの埋入です。
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今回のケースの場合、患者様の希望もあり、サイナスリフトは行わず修復を図ることにしました。ただ、骨幅には全く問題なく太いインプラントを埋入することができましたのでその点は良かったと思います。しかもインプラント体が歯根型をしているので、従来のストレートタイプのインプラントの場合は太いインプラントを埋入すると根尖部分でインプラント体が露出する危険性がありましたが、この点でも歯根型のインプラントは有利であると考えられます。
あとは骨の十分な治癒と、インプラント体とのオッセオインテグレーションを起こすまで十分な治癒期間を取ることが大切だと考えています。

[4.症例の紹介][ケース013] 投稿者 ochan_implant : 21:13 | コメント (0) | トラックバック (1735)

2006年03月19日

インプラント体のお話-その2 インプラントと上部構造のお話

前回はインプラント体の形についてお話しいたしました。インプラントの表面性状、全体の形はいろいろに改良と工夫が重ねられてきたことがおわかりになったと思います。
さて、今回はこのインプラント体と上部構造(いわゆる歯の部分)をどのようにつないでいるか?をお話しいたしたいと思います。
まずはおさらい!
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インプラントのあたまの部分にはこのように『六角形』の出っ張りが出ています。通称『エクスターナル・ヘクス』。この構造はブローネマルク先生が特許を申請せずオープンにしたことで様々なメーカーが利用することができたとか???
確かにメーカー間のパーツがある程度共用できる点ではよかったかな?
この六角形の中にはもう一つ穴が開いててここにもう1本ねじが入るようになっています。
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こんな感じです。この金色のねじはだいたいめがねのフレームに使われているねじと同じ大きさです。
これを歯の支台の部分となるパーツとの連結に使うのです。
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そしてこの支台に歯をかぶせるわけですね。
だから、歯になる部分とインプラント体はめがねのねじ程度の細いねじでつながっているだけ なのです。
ちょっと不安になりました?
実はこれには理由があって、歯に過剰な力がかかるような場合にはこのねじが先にゆるんだり、折れたりすることで骨の中のインプラント体やその周りの骨を守っている訳なんですよね。
天然の歯には歯根膜といういわばショックアブソーバーのようなものがあるのですが、これでも過剰な力がかかってしまうと歯の周りの骨は吸収されてしまうのです。インプラントの周りにはこのような歯根膜は存在しませんので、このような危機管理機構が備わっているわけです。
もちろん、危機管理機構が備わっているとはいえ無理な設計がないよう最初から治療計画はきちんと立てる必要があります。
大月歯科医院では術前の完成予想模型を必ず作成します。これは前もって無理のないインプラント治療の構造設計を行うためでもあるのです。こうなってくるとインプラント治療はマンションやビルの構造設計と同じように、きちんと力関係の配慮を行う必要があることがおわかりになると思います。

[3.マテリアル] 投稿者 ochan_implant : 18:24 | コメント (1) | トラックバック (524)

2006年03月13日

インプラント体のお話-その1 インプラントの形の変化

今回は大月歯科医院で使用しているインプラントの形についてご紹介したいと思います。
インプラントといっても各社様々な工夫をこらしているのですが、大月歯科医院で使用しているインプラントはアメリカの3I(スリーアイ)の製品です。このブログにもリンクを貼ってありますので詳しいことはそちらからもご覧になることができます。
大月歯科医院でのインプラント治療にこの3I社製のインプラントを使用することにした最大の理由は...
1.アメリカで大きなシェアを誇っている。
おそらく世界中で一番インプラント治療が行われているのがアメリカだと思いますが、そのアメリカで大きなシェアを誇っているインプラントが3I。従って数々のインプラントのためのパーツの供給も安定しています。車でもあまりマニアックな外車にしたときに故障の時パーツを取り寄せるのには苦労しますよね?あれと一緒です。一番いいのは国産のでしょうが...残念ながら長い歴史と高い安定性を誇るメーカーは国内にはあまりありません。これからが期待されるところです。
2.高い成功率。
もちろんこのことは最大の理由にもなります。多いなシェアを有して多くの数が使用されていて高い成功率を誇ることは何よりも安心ですよね。
3.補償制度の充実。
このメーカーでは3I社の認定の研修コースを受講して、正しい術式に基づいてインプラントを埋入したにもかかわらず、初期のオッセオインテグレーションが得られなかった場合はメーカー保証を受けることができます。これもこの会社の自信の現れなのでしょうね。
このあたりが、大月歯科医院でインプラント治療を行うときに使用するインプラントを決めた理由です。
さて、この3I社のインプラント、ずっと同じなのかというとそうではなく、やはり様々な改良がなされて現在に至っているのです。
大月歯科医院で使用したインプラントの種類も現在のところ2種類ありまして、今ではオッセオタイトNTというタイプを使用しています。ちょうど今、この3I社製のインプラントの模型が当院にありますのでインプラント体の形の変遷を見てみましょう。
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左から初期型のICE、オッセオタイト、オッセオタイトNTという順番に並んでいます。元々はブローネマルク(今はノーベルバイオケア)のインプラントのコピーのようなものだったのですが、セルフタッピング(木ねじのように自分で溝を切って中に入っていくもの)ためのICEというカッティング構造を持ったのが初期タイプのようです。この時はまだインプラント表面はつるつるの機械研磨のままです。ところが少しでも早くオッセオインテグレーションを得るために、そしてその当時は何症例と言われていた上顎の臼歯部へのインプラント治療を可能にするために表面構造への改良がなされていくことになりました。そして表面性状をサンドブラスト処理と酸エッチング処理を施したオッセオタイトというタイプのインプラント(真ん中のインプラント)が登場します。大月歯科医院ではこのオッセオタイトのころからこのインプラントを使用しています。ただ、機械研磨面のいいところもあって、感染にはつるつるの方が強いのです。おそらく細菌の足場がつきにくいのでしょう。したがってオッセオタイトでは上から3番目の溝のところまでは従来の機械研磨面が採用されています。こういうところがすごく安全と確実性を求めているなあと私が気に入っているところでもあるのです。そしてさらにオッセオタイトから、より自然の歯に近い形と埋入時の負担の軽減を求めるために改良されたのがオッセオタイトNTです。大月歯科医院でも現在はこのインプラントを使用しています。この歯根型にインプラントがなったことで、実は様々ないい点があります。わかりやすく言うと天然歯と同じような形だから上顎の前歯部や小臼歯部などの根尖部がやや狭搾した形の骨の部位に埋入しやすくなりました。これについてはいいケースがありましたので近日ご紹介の予定です。あと、なによりもドリリング(骨を削ること)の時間が従来の半分以下になりました。これはドリルの改良によるところが大きいと思うのですが、それだけ手術時間も大きく短縮され、患者様の負担も大幅に減りました。もしかすると歯を抜くよりも簡単になったかもしれないと思います。
このようにインプラント自体も少しずつ改良が加えられているのです。
次回は実際インプラントはどのようにして上にかぶせる歯とつながっているのか??について述べたいと思います。

[3.マテリアル] 投稿者 ochan_implant : 01:29 | コメント (0) | トラックバック (1703)

2006年03月04日

CTによる下歯槽神経の場所の特定について

以前このテーマをご紹介すると言いながら更新が行われていませんでした。今回は実際のCTのデータからどのように下歯槽神経の位置を特定するかと言うことをご紹介したいと思います。
下顎のインプラント治療を行うとき、もっとも気をつけないといけないのが下歯槽神経の損傷です。これを起こすと唇にわたっての知覚麻痺を起こしてしまいますので大変です。
もちろんこのリスクを避ける上で解剖学的な充分な知識も必要となることは言うまでもありません。しかし、それだけでは不十分です。昔はパノラマレントゲン写真だけを頼りにだいたいの下歯槽神経の位置までの深さ(これは埋入するインプラントの長さに影響してきます)を計算していたのですが、これがきわめてアバウトなのです。なぜならパノラマ撮影はセッティングを行う人によりその拡大倍率が様々に変化しているからです。
したがって、インプラント治療をお考えの方は、その歯科医院がCTによる術前診断を充分行っているかどうか確かめてみられるのも、安心してインプラント治療を行えるかどうかの目安の一つとなると思います。
決して『安い・早い』を基準にすることのないように。標準的な価格から著しくかけ離れているものは先日の偽造マンションの話ではありませんが、何かあるものです。
さて、CT撮影を行っているとしても、ちゃんと解析を行わないと全く意味がありません。そこで当医院で使用しているCTの解析ソフト『10DR』をご紹介いたします。昔は当医院では某有名な○○プラントというソフトを使っていましたが、下歯槽神経の同定が困難なケースが時々あって、あんまり意味無いな..と思っていたのです。ところがこの10DRはその部分を見事に解決しており、実に良くできたソフトです。このソフト、有料版(3D版)と無料版(2D-Simple)がありまして、私は有料版を持っているのですが、もっぱら最近は無料版を使用しています。実際の臨床にはそれで十分だからです。
実際のCT解析画面はこのような感じです。
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このソフトの良いところはパノラミックビューの断層ラインを自分で変えて見れるところです。今の○○プラントも可能になっているのかもしれませんが、その当時は不可能だったのです。
向かって左側のパノラマチックに見えているものがそれです。
これを断層域を少しずつ動かすと下歯槽神経の走行がよくわかるのです。わかりやすくアニメーションにしてみますとこのような感じです。
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矢印が下歯槽神経ですね。こうやって神経の走行場所を特定してから、インプラント埋入場所での埋入深度の決定を行っているのです。

[2.テクノロジー] 投稿者 ochan_implant : 08:06 | コメント (1) | トラックバック (1276)

症例紹介 ケース012 左下小臼歯の単独欠損症例 その1

最近はインプラントの単独植立ケースもずいぶんと増えてきました。これは歯を失ったときにブリッジにしてしまうよりもインプラントによる欠損補綴を選択する方が増えてきたと言うことがあります。ブリッジ→多数歯欠損→入れ歯 という悪循環を引き起こさないためにも少数歯の欠損の時から積極的にインプラントにより咬合力を負担することが重要であると私は考えます。
また、少数歯欠損の時からインプラント治療を選択することは治療コストも比較的安くすむことになりますので、是非お勧めです。
さて、今日は左下小臼歯の欠損に対してインプラント治療を選択したケースです。このケースでは以前メタルポストが入っていたのですが、歯根破折により抜歯に至った症例です。小臼歯を失う例では比較的よくあるケースだと思います。

<ケース012 左下小臼歯部の欠損症例>
このケースの場合、歯根破折により頬側の皮質骨が大きく失われていたので、いつものようにGBRを行い、頬側骨の再生を図りました。
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今回も見事に頬側骨の欠損部は新しい骨が再生しています。
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3i社製のオッセオタイトNTの4mmのインプラントを埋入しました。これくらいのケースだと手術時間も45分程度で終わります。
切開、縫合も簡単にすみますのでとても楽です。
隣接歯との歯軸の関係も良好な状態で埋入することができました。最近歯軸を合わせることには結構気を遣っています。
また、それを実現するためにちょっとしたテクニックもあります。それはちょっと企業秘密(?)。

さて、十分なオッセオインテグレーションのための時間をかけ、次は2次手術となります。2次手術では頬側の角化歯肉が若干少ないために、歯槽頂部分の角化歯肉を移動することにより、治療終了後のメインテナンスを行いやすくすることを図ります。
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左図、歯槽頂部分には角化歯肉があるのですが、頬側にはちょっと少ない。
右図、そこでAPFを行い、頬側の角化歯肉の獲得を行う。写真はパーシャルシックネスでフラップをあけたところ。
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ヒーリングアバットメントを接合し、縫合して終了。全手術時間40分。結構スムースにいけました。
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ヒーリングアバットメント接合後のパノラマ写真です。
今後は補綴処置に入っていきます。

[4.症例の紹介][ケース012] 投稿者 ochan_implant : 00:48 | コメント (0) | トラックバック (711)

2006年02月18日

セカンドオピニオン

最近このインプラントWEBをご覧になってインプラントの相談にお見えになる方が増えました。言い方を変えれば相談に来られるときにこのコーナーをもご覧になっているといった方が正解なのでしょうか。
インプラントに関するご相談については当医院ではセカンドオピニオンを随時受け付けております。
インプラント治療を勧められたが、ちょっと不安なところがある。もしくはインプラント治療はやめた方がいいと言われたが、本当にそうなのか?など、インプラントに関するちょっとした疑問点がありましたらお気軽にご相談ください。誠心誠意お答えできることは率直にお答えいたします。
セカンドオピニオンについてはきちんと時間をお取りしてじっくりとお話をお聞きしたいのでなるべく事前に電話でご予約ください。当医院の受付が親切丁寧にお聞きいたします。ご遠慮なくご相談くださいね。

[1.00治療全般] 投稿者 ochan_implant : 22:32 | コメント (0) | トラックバック (766)

2006年02月07日

症例紹介 ケース011 右上臼歯部欠損症例の2次手術

今回は先週のオペの様子をご紹介いたします。先週は見学の先生もお見えになっていて、ちょっと緊張しましたが2次手術と言うこともあって、大きなトラブルもなくなんなく終了。2次手術の場合、トラブルというとたとえばインプラント体が骨と結合していないとか考えられるのですが、実際のところ大月歯科医院ではどうなの??ということになると、ほとんど皆無です。最近のインプラントはとてもインプラントの表面性状の工夫がなされてきていて、非常に短期間に骨と結合するようになってきています。ただ、私の場合、そんなに早さを追求をしているわけではないので、インプラントの埋入時に感じるその方一人一人の骨の状態を感じ取ってきちんと治癒期間を与えていることが骨との結合を確実にしているのでは無かろうかと思います。それよりも、2次手術で困ることは他にもあるのです。いやむしろこの方が多いかもしれません。それはヒーリングアバットメントの選択です。1回法のインプラントシステムを選択しておられる先生はあまり経験のないことかもしれません。これにまつわる様々な経験を積んでF先生が思われていたような、黙々と淡々とスムースに治療が進むことになるのだと思います。
ちょっと、前置きが長かったですが、それでは今回のオペの様子です。この患者様は非常に口が小さいタイプで、オペはかなりしんどいです。写真も非常に苦労しますが、がんばっていただきました。

<ケース011 右上臼歯部欠損症例の2次手術>
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頬側の歯肉に角化歯肉が無く、かつ口腔前提も浅いため、補綴後のメンテナンスが困難になると考えられましたので、口蓋側の角化歯肉を頬側へ移動し、APFを併用して行いました。左はフラップをあけているところです。
そして右側がヒーリングアバットメントを装着しているところです。ココが今回の見せ場(?)。F先生いかがでしたか?先生も何種類かアバットメントは用意しておいた方がいいですよ。
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あとはいつものように縫って終わり!今日も40分ほどで終了!最近手際よくなったこともあり、昔ほど時間かからなくなってきました。いやーそれにしても写真よく撮りましたね。佐々木さん上手です!
あとは歯肉の治癒を待って約1ヶ月後に印象の作業に入ります。
ココがまた大きな山場なのですが、今回はココまでです。
F先生またこの次の行程の時に是非見学来てください。先週お貸しした本には載っていないまさに裏技のオンパレードです。
しかし、それも行わなくては対応できないケースもあるのです。お待ちしております<(_ _)>。

[4.症例の紹介][ケース011] 投稿者 ochan_implant : 00:18 | コメント (0) | トラックバック (302)

2006年01月31日

症例紹介 ケース010 左下臼歯部の欠損ケース(その1)

今回の症例紹介は左下臼歯部欠損症例です。パノラマ上では下歯槽神経までの距離はあるのですが、ちょうど6番付近の骨幅が少なく、GBRを行ったケースです。私自身の症例を時々昔のケースと比べてみると明らかに骨のでき方が違ってきました。一つにはPRPを併用していること。そしてもう一つは縫合するときのテンションのかけ方の違いかなと...勝手に考えています。では今回のケースです。

<左下臼歯部の複数歯欠損ケース(その1) GBR~埋入>
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GBR前の様子です。7番付近は問題ないのですが、6番相当部の骨幅がちょっと少ないです。GBRはいつものようにDFDBAを用いました。もちろん皮質骨には何カ所か皮質骨に穴をあけておきます。

約半年後、インプラントの埋入手術を行いました。
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今度は幅は充分です。
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無事インプラントの埋入を行い、縫合して終了です。このようなケースは大月歯科医院でもよくあるパターンの一つです。もちろん埋入前にはCTによる術前診断を行っています。
このあとはオッセオインデレーションを待ちます。次回は2次手術となります。

[4.症例の紹介][ケース010] 投稿者 ochan_implant : 02:33 | コメント (0) | トラックバック (1523)

2006年01月20日

症例紹介 ケース009 右下臼歯部の単独歯ケース(その1)

今年に入って私の初インプラント埋入手術です。ここから約1ヶ月間毎週のようにインプラント手術がつづくのです。
私はインプラントの手術の時は完全集中のためにその患者様しか予約を取りません。そして全身全霊を傾けて(ちょっと大げさ(^_^;))、手術に望んでいます。ですからインプラントの手術を受けられる方はこの時間だけは完全に大月歯科医院はあなただけのために時間をご用意させていただいております。従って細かい気遣いも半端じゃあありません。これは手術を当医院で受けられた方だけがわかることなのです。これも大月歯科医院ができてからずっと続けてきたことです。これからも変えるつもりはありません。
それでは今日の症例をご覧に頂きます。

<右下臼歯部の単独歯ケース(その1)GBR後からの埋入>
この症例は右下臼歯部の欠損のためインプラントの埋入となったものです。本当は5番、6番が欠損なのですが、スペースの関係上、いろいろワックスアップをしてみた結果、6番のみの単独での埋入を選択いたしました。
もちろん術前にCTによる神経までの距離や骨の幅を確認しております。単独植立と言うこともあり、できるだけ幅の太いインプラントを埋入したいところです。
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GBRを行う前の状態です。5番の抜歯窩が見えます。頬側の骨幅が少ないです。従ってGBRを行いました。
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約半年後の今日、インプラント埋入となりました。骨幅の増加が認められます。ちょっとまだ骨補填材の粒子があり、つぶつぶとした感じですが、さわるとカリカリの状態で、インプラントの埋入には問題ありません。
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直径5mmのインプラントを所定の位置に埋入し、縫合いたしました。
今後の経過もこのコーナーにて紹介いたしたいと思います。

[4.症例の紹介][ケース009] 投稿者 ochan_implant : 09:14 | コメント (2) | トラックバック (1237)

2006年01月09日

大月歯科医院におけるインプラント治療の流れについて

今回は大月歯科医院におけるインプラント治療の流れについてご紹介いたします。インプラント治療を検討中の方は是非参考にしてくださいね。

大月歯科医院のインプラント治療のコンセプトは
『安心・確実なインプラント治療』です。


0.インプラント治療を検討してみたい方は...

まずはお気軽に当院のスタッフにお申し付けください。何事もまずはご相談が治療の第一歩です。簡単なことから少しずつ治療の手続き等をご説明いたしますのでご安心ください。

1.治療に際してのお口の中の診査を行います

当医院ではまずお口の中の状態を調べさせていただき、患者様それぞれのお口の中に合わせた治療計画を提案させていただくようにしています。したがってまず最初はお口の中の術前の診査を行います。

<術前診査として行うこと>
・かみ合わせの状態等の確認のための口腔内模型の採得
・インプラント埋入部位の骨の状態の簡易検査のためのパノラマエックス線写真撮影
・口腔内写真の撮影
・一般的な口腔内診査(虫歯、歯周病等の検査)
   (所要時間は約30分程度です)

2.治療計画の説明と治療費用の見積もりをお知らせします

口腔内の診査結果に基づき、あなたのお口の中にもっとも適した治療計画をご提案いたします。また、併せて治療のための期間や費用などもお見積もりいたします。もちろん見積もりは無料です。あなた自身のお口の中のことですから、じっくりとご検討いただき、もし不明な点がありましたら何でもお聞きください。なるべくわかりやすくご説明いたします。

3.治療方針が決定したら...

大月歯科医院では治療方針が決定し、治療を開始するにあたり必ず『治療契約書』を作成いたします。
契約書には治療金額、治療上の注意事項、治療費用の支払い方法、保証規約などが記されています。この契約書は2通作成し、当院と患者様の両方が保管する形を取ります。
大切なあなたのお口の中の健康を預からせていただく私たちの決意のしるしでもあります。

4.まずはインプラント周囲の骨の整備から行います

もし口腔内診査でインプラント周囲の骨環境の整備が必要であると診断された場合、まずこれから治療を行います。
骨環境の整備には様々な方法で大月歯科医院は対応するようにしています。

<インプラント周囲の骨環境の整備>
・GBR法 : 骨の治癒までに約4-6ヶ月が必要。
・骨移植法(ベニアグラフト法) : 下顎の比較的大きい骨欠損に対して行う。治癒期間は約6ヶ月。
・サイナスリフト法 : 上顎臼歯部の骨量が少ないときに行う。治癒期間は最低6ヶ月以上。
・骨延長法 : 骨量が大幅に少ないときに行う。治癒期間は短いがちょっと手術がハードだと思います。

いずれにせよ、インプラント周囲の骨環境は家にたとえれば地盤に値します。ここをあまりおろそかにすることは家の基礎を手抜きするのと同じです。当院としてはもっとも確実に行いたいと考えるところです。

5.CTによる最終的な骨の状況の精密診査を行います

骨状況の改善後治癒期間が経過した時点でCTによる骨量の診査、および埋入インプラントのシュミレーションを行います。家にたとえれば地盤調査を行うわけです。当医院では全症例においてこの診査を行い、安全性を高めた治療を心がけています。
s-3036_CT_01.jpgWS000001.jpg

6.インプラント埋入の手術(1次オペ)

CTによる診査を行い埋入インプラントの規格が決定したら、いよいよインプラントの埋入手術です。手術自体は2時間程度で終わります。痛みもほとんどありませんのでご安心ください。ただし、どうしても怖い方は鎮静下のもとに手術を行うことも可能ですのでお問い合わせください。
p_beginner_flow01.jpg<1回目の手術>
しっかり固定するようにインプラントを入れ、歯ぐきを閉じます。

<治癒期間 【3ヶ月(下顎)~6ヶ月(上顎)】 >
インプラントに力をかけずに、治癒を待ちます。数カ月で骨とインプラントがしっかりと結合します。

 

 

 

7.粘膜貫通部の手術(2次オペ)

インプラントがしっかりと骨と結合したら、次は周囲粘膜組織の環境整備も行います。この処置を行うことによりメンテナンスのしやすい環境を作ります。
p_beginner_flow02.jpg<2回目の手術>
インプラントが骨と結合したら、人工歯を取り付けるための部品を連結し、歯ぐきから露出させます。

<治癒期間 【2週間~4週間】 >
歯ぐきの形が整うまで待ちます。

8.仮の歯の作成

インプラントに少しずつ咬合力(咬む力)を負担させていくリハビリ期間を設けます。
お口の中の型をとり、あなたに合った仮の歯を製作します。仮の歯で噛み合わせを調整します。
歯ぐきの治癒を待ちます。時間をかけて、きれいな人工歯を製作します。
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9.最終補綴物の完成

いよいよ最終的な歯が完成です。お疲れさまでした!
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天然の歯と見分けのつかない人工歯をインプラントに装着し、お手入れの仕方などを練習します。

10.ここからが肝心!メンテナンス!!

インプラント治療は骨の中にインプラントを埋め込む治療です。お手入れさえきちんとして、大きな健康の変化が起こらない限り、長く使っていけるものです。だからこそ治療後のお手入れは重要です。当医院ではメンテナンスのプログラムも充実していますので、ぜひご利用いただき、インプラントによって回復された歯を大事に使ってくださいね。

大月歯科医院では以下のようなことはインプラント治療を行う歯科医師としてのモラルに関わることですので断固としていたしません。

根拠のない治療期間の短縮とインプラント本数を減らすことによるコスト削減
→お口の中のインプラント補綴物にも構造計算の考え方は必要です。大月歯科医院では不当なインプラント本数の削減(鉄筋を減らすようなものです)や、正常な範囲の治癒期間を大幅に短縮した治療は行いません。
インプラント治療でも言えることですけど、『工期半分、コスト半分』ってのはマンション構造計算偽造問題じゃあありませんけどよく考えられた方がいいかも...最後は結局自己責任ということになりかねないと思う。

不必要なインプラント埋入本数の水増し
→上記事項とは逆の考え方ですが、不必要にインプラント埋入本数を増やすこともいたしません。

じゃあどれくらいが妥当なの?
当医院では欠損歯(なくなっている歯)と同じ数だけのインプラント本数がもっとも妥当であると考えています。ただし、回復する咬合の範囲によってもその数は変わりますが...
また、埋入インプラントの長さは歯冠歯根比(歯の長さと埋入したインプラントの長さの比)が最低1:1はほしい と考えています。もちろんインプラントの太さも重要なファクターです。インプラントの形から、長さを1mm長くするより、太さを1mm太くする方が骨と接する面積は増えるので有利なのです。骨の環境改善を積極的に行う理由はそこにもあるのです!!


[1.00治療全般][1.02治療の流れについて] 投稿者 ochan : 20:22 | コメント (0) | トラックバック (1009)

2005年12月30日

症例紹介 ケース008 上顎前歯部の骨吸収ケース

インプラント治療はそもそも始まりは下顎の左右のオトガイ孔の間への適応から始まりました。それがインプラント治療の素材や技術、骨補填材の登場などでその適応部位がどんどん広がっていったわけです。
インプラント治療を歯科医師がはじめるにあたってまず最初は下顎臼歯部で基本的な技術を習得し、上顎の臼歯部ができるようになって、最後が上顎の前歯部と言えるでしょう。なぜなら上顎の前歯部がもっとも審美性と機能性の両立が要求される治療部位だからです。
したがって上顎の前歯部のインプラント治療はインプラントロジストにとってはアドバンスな位置づけになると思います。
今回の大月歯科医院におけるインプラント治療の症例紹介は上顎前歯部のインプラントケースをご紹介したいと思います。

<上顎中切歯の破折により唇側骨の吸収を併発している症例>
いつもならパノラマ写真なのですが、前歯部はパノラマ写真はわかりにくいので今回はデンタル写真で紹介です。
s-1255_040221d.jpg初診時のデンタルです。
右側上顎中切歯が破折しているのが確認されます。左側の根尖病巣もありますね。とりあえず右側から治療を開始しました。
まずは破折歯の抜歯と同時にGBRを行い、早急に吸収した骨の再生を図る必要があります。
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歯間乳頭をなるべく保存するようにフラップを形成し、骨の様子を確認します。唇側骨はバッサリなくなっていました。
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不良肉芽をきれいに掻爬し、新鮮な骨面を出します。ここからGBRを行います。今回は周囲から採取した自家骨と骨補填材をブレンドし、骨の再生を促進するためにPRP(血小板を濃縮した血清)を併用しました。PRPはまた別の機会に大月歯科医院のインプラント治療を支えるもう一つの技術として紹介したいと思います。
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左は骨を充填したところです。右側のトロッとしたものがPRPです。このころは直接骨の上にのっけていますが、最近はさらに改良バージョンでやってます。これがすごい成績がよい!!それはここでは企業秘密ということで(笑)。
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s-1255_040517d.jpg縫合して終了です。
この状態でしばらく骨が再生してくるのを待つわけです。

約5ヶ月後骨造成もほぼ良い頃合いだと思われます。ここからは少し臼歯部とは違ったアプローチとなります。すなわち骨の次は粘膜のコントロールを行います。どうしてもGBR等の処置を行うと角化歯肉が失われて、かつ粘膜の厚みが薄くなってしまう傾向があるため(私だけなのかもしれませんが)、インプラントを埋入する前に周囲の粘膜組織の環境を整えておくわけです。後でやっても良さそうなのですが、インプラント周囲のティッシュマネージメントは天然歯とは少し違うような気がしますので、ここでは先に行いました。また、前歯部であるためなるべく傷を小さくすましたいという観点からもこの方が有利なのではと思いますがいかがでしょうか?
では5ヶ月後のGBR部位を紹介いたします。
s-1255_6581.jpgs-1255_6583.jpg
いかがでしょう?GBR部位には骨の再生が認められます。

ちょっと前後で比べてみます。
s-1255_6031.jpgs-1255_6583.jpg
左がGBR前、右が5ヶ月後です。
ここからCTG(結合組織移植)を行い、角化歯肉と粘膜の厚みを稼ぐようにします。
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テンポラリーを参考にしながら粘膜の厚みを調整して結合組織を移植します。
ここでまた粘膜組織が治癒するのを待ちます。

約3ヶ月後、いよいよインプラントの埋入手術を行います。
s-1255_6594.jpgs-1255_6593.jpg
s-1255_6595.jpgs-1255_050530d.jpg
ここからインプラントがオッセオインテグレーションをするのを充分待ちます。

約4ヶ月後、2次手術を行います。審美性を重視するため、ここではなるべく小さい切開でヒーリングアバットメントを接合するようにします。
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歯間乳頭を再建するのに十分な量の粘膜がありましたので手術自体は非常に楽でした(^_^)v。
あとは治癒していくのを見守るだけです。時々変な治癒をしたところがあれば、時々歯肉切除しながら形を整えていきます。
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ほぼ隣の中切歯の歯頸部と同じ高さになってきました。いよいよ最終アバットメントの接合です。
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s-1255_050712d.jpgUCLAアバットメントをセットしたところ。
そしてテンポラリークラウンをセットします。
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この状態でしばらく経過を観察し、最終補綴物へと置き換えます。

約1ヶ月後、最終補綴物をセットしました。
s-1255_6744.jpgs-1255_6742.jpg

治療前後を比較してみます。
s-1255_6046.jpgs-1255_6742.jpg
左が治療前。  右が治療後です。 いかがでしょうか?
この写真だけ見たらそんなに難しそうではないでしょう?でも粘膜の下の吸収した骨の状況を考えるとやはりアドバンスな症例なのです。どれだけ先を読んで治療を計画するかが大切です。
最近世の中がそうなのかもしれませんが、どうもプロセスを軽視してコスト重視なところがありますよね。医療の世界にまであまりその考えは持ち込まれたくないものです。
妙に安売りするインプラントはやはり警戒すべきなのではないでしょうか???みなさんはいかがお考えでしょう?

上顎前歯部のインプラント治療は前にも述べましたが、骨のコントロールとその上の粘膜のコントロールの両方のテクニックが要求される場合が多く、やはりどちらの処置もある程度こなすことができてはじめて可能になる治療だと思います。また、その分手間と時間がかかりますので患者様にも術者側にもある意味強い信頼がないと不可能ではないでしょうか?
大月歯科医院ではなるべく正しい治療の姿をおわかり頂いた上で治療を行いたいと考えています。ですから治療説明の時間をなるべくしっかりとっていますのでお気軽にお問い合わせください。

[4.症例の紹介][ケース008] 投稿者 ochan : 00:26 | コメント (1) | トラックバック (7481)

2005年12月25日

治療費についてのご案内

インプラント治療を検討されている方にとっては結構重要だったりする問題があります。そうです。コストです。
今回は大月歯科医院におけるインプラント治療にかかる治療費用についてご説明いたします。

インプラント治療は大まかに以下のステップで進んでいきます。
1.インプラントの術前の診査および診断
2.インプラント周囲組織の環境整備(GBR、サイナスリフト、骨移植等)に関する処置
3.インプラント埋入手術
4.インプラント埋入後の2次手術
5.印象(歯型を採ること)と暫間補綴物の作成、リハビリテーション
6.最終補綴物の完成

従って、それぞれのステップにおいて当医院では以下のように治療費用を計上しています。 (税別です。別途消費税がかかりますのでご注意ください。)


<診査・診断に関する費用>
・術前CT撮影費用:約¥12,000(撮影する病院によって若干の差はあります。支払いは撮影病院へお支払いいただきます)
・インプラント術前診断料:¥25,000(片顎単位です。上下の場合は¥50,000)

<インプラント周囲組織の環境整備に関する費用>
・GBRの処置:¥30,000(1部位あたり、部位が大きい場合は骨補填材料の量により若干費用が異なります)
・サイナスリフト:症例により、使用する骨補填材の種類、使用量が異なりますので担当ドクターへご相談ください。
・骨移植、骨延長術:その都度ご相談させていただきます。
※なお、サイナスリフト、骨移植等の処置に関しては現在岡山大学歯学部口腔外科と連携して処置を行っています。大きな外科的処置が必要な場合はその都度ご相談させていただいておりますので、安心してご相談ください。

<インプラントの手術に関する費用>
・3iインプラント埋入手術:¥220,000(埋入数1本につき)
・インプラント2次手術:¥20,000(1部位につき)

<インプラントの補綴物作成に関する費用>
・印象採得:¥5,000
・インプラント上部構造:¥80,000

インプラント治療は症例により治療期間やアプローチの方法が異なりますので上記に示す費用は一応の目安として表示してあります。
なお、大月歯科医院ではインプラント治療の無料見積もりを随時行っておりますので、インプラント治療をお考えの際にはお気軽にお申し付けください。

[1.00治療全般][1.01治療の費用について] 投稿者 ochan : 23:53 | コメント (0) | トラックバック (4141)

2005年11月30日

症例紹介 ケース007 骨はあっても角化歯肉がない!!

今回は今までとちょっとテーマが違います。今まではインプラントを埋入するための骨の回復ということが大きなテーマでした。これは大月歯科医院でのインプラント治療の中の大きな柱の一つとなっています。そして今回のテーマはインプラント周囲の組織マネージメントで特に『角化歯肉』ということにスポットライトを当てます。これも大月歯科医院におけるインプラント治療の中の大きな柱の一つです。インプラント治療ではインプラント補綴物の設計も大きな予後を左右する因子の一つですが、インプラントの周りの骨や角化歯肉のマネージメントでも大きく予後を左右します。ですから、大月歯科医院ではこれらのことを十分配慮して治療を進めているため、はっきり言って時間と手間がかかります。ですから今月何本!などと予定を立てては進めない部分もあるのです。そして私自身がすべて行いますので、手にかけられる症例には自ずから限界があり、これらを越えて行うことは治療レベルの低下につながると考えていますので、時々治療をお断りしてしまうこともありますが、その点をご配慮くださいね<(_ _)>。

<骨はあっても角化歯肉がなく、遊離歯肉移植により角化歯肉を獲得した症例>
さて、本題に入りましょう!患者様は女性で、右下臼歯部の咬合の回復を主訴として来院されました。
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初診時のパノラマです。かなり骨はゆとりがありそうです。抜歯してそのままだったとか。下手な義歯を入れて骨吸収を起こしていなかったのがかえって良かったのでしょうね。しかし、長期歯牙喪失により、角化歯肉はかなり消失していました。
s-942_6211_040603.jpg角化歯肉が頬側にはほとんど無い。
とりあえず、通法通りインプラントを埋入しました。もちろんCTによる術前診査は行っています。
s-942_6206_040603.jpgs-942_6204_040603.jpg
このようにオリジナルの骨に恵まれているケースにお目にかかれることは稀ですよね。
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埋入時のパノラマ写真です。一応オリジナルの骨への埋入であること、そして埋入時の初期固定が良好であったことから、治癒期間は約3ヶ月としました。

さてここからがこのケースでのテーマとなるところです。治癒期間中右下6番のインプラントのヒーリングキャップが露出してしまいましたが、感染は認められず治癒経過は良好であったため、2次手術に踏み切りました。しかし、そのせいもあって頬側に角化歯肉はなく、このままではたとえ上部構造ができたとしても、患者自身のプラークコントロールや、感染への抵抗性が低くなってしまいます。従ってこの場合では遊離歯肉移植により、角化歯肉を獲得することにしました。
s-942_6832_041104.jpgs-942_6835_041104.jpg
2次手術時の写真です。角化歯肉は同側の口蓋歯肉から採取します。
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手術後の治癒状況です。上の写真と比べてみてください。もりもり角化歯肉ができています。
こうしてインプラント周囲の角化歯肉を獲得してあげることでインプラント治療の永続性を高めているわけです。
この後、最終補綴物の作成へと続いていきます。
s-942_7207_051128.jpgs-942_7209_051128.jpg
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このケースでは角化歯肉の獲得法として『遊離歯肉移植』という方法を使いました。
ただし、ある程度使えそうな角化歯肉がインプラント周囲組織にあるときは、APF(根尖側移動術)により、インプラント周囲の角化歯肉獲得を行います。場合によりけりと言うことですよね(^o^)

今回もつたない大月歯科医院の症例にお付き合いくださりありがとうございました。<(_ _)>
よろしければご意見ご感想などもお寄せください。インプラント治療をお考えの方、今治療を行っておられる方、そしてインプラント治療に熱い情熱を持って取り組んでおられる先生方!一緒にがんばりましょう!!(^^)/

[4.症例の紹介][ケース007] 投稿者 ochan : 23:28 | コメント (0) | トラックバック (1034)

2005年11月29日

症例紹介 ケース006 GBRで作られた骨の経過

今回は単純にGBRで作られた骨にインプラントを埋入したケースなのですが、ちょっと視点を変えてGBRで作られた骨っていつ頃本当に自分のものになるのだろう...ということを考えていた頃に遭遇した症例です。このころはまだ当院では症例写真をアナログのカメラで撮って、プリントアウトしたものをスキャナーで取り込むという、今から思えば気が変になるような作業をしていたことを思い出します。もちろん取り込みは旧メンバーがやってくれていたのですが、ご苦労様でしたと言いたい気分です。それでは今回もつたない大月歯科医院のケースにお付き合いください。

<GBRで作られた骨が非常に柔らかく、オッセオインテグレートのための期間を長くした症例>
女性の方で左下臼歯部のカリエスで抜歯となった。ブリッジを希望されなかったので説明を行いインプラントによる回復を試みることとした。
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初診時パノラマです。左下7番のカリエスによる根破折により、抜歯となりました。
この症例では抜歯即時GBRという方法を選択いたしました。
その理由は
1.抜歯理由がカリエスであり、GBRを行う部分の骨の感染が無い。(PやPerでの抜歯では即時GBRはリスクが高いので当院では行いません。)
2.GBR部位の範囲が少なく、閉鎖が行いやすい。
ということだったと思います。
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左が抜歯直後で、右は肉芽をきれいにとって新鮮骨を出したところです。
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骨補填材(DFDBA)を入れて、メンブレンでスペースメイキング。このメンブレンがミソなんですが、これは企業秘密と言うことで...すみません<(_ _)>
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GBR後に撮ったパノラマです。
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6ヶ月ほど経過してインプラントの埋入を行いました。しかし!!骨が柔らかいのです。(手で回るくらい!!)どうしようかと一瞬悩みましたが、オリジナルの骨の部分の中隔部分の骨で少し止まったのでインプラントを埋入しました。でも柔らかいのがとても気になって治癒期間を長めにしましょうと患者様には説明し、治癒を待ちました。
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8ヶ月待ちました(^^;)。理由は特にはありません。とりあえず倍待てば何とかなるかな?という感じだったと思います。今ならいろいろ良い診断用の器械があるようですけどね。
2次手術ではAPFにて角化歯肉の保存を図ります。(昔の私の仕事ですのでツッコミはご勘弁を...)
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治癒後最終補綴物をセットしました。
ここまではよくある話!問題はここからどう骨が変化していくのかと言うことです。もちろん2次手術の時は臨床上は骨結合していました(回らなかったと言うことです)が、パノラマでは骨梁があまりきれいに認められなかったのです。これも患者様には説明して、定期的に経過観察をさせていただくことにしました。以下はその部分のパノラマの拡大です。
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左は埋入時、インプラント近心側の骨梁は不明瞭。右は治療終了時。GBRから1年6ヶ月。石灰化度は上がってるようです。当たり前ですけど...
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さらに3年後(GBRから4年目)ちょっとわかりにくいかもしれませんがほぼきれいに骨梁らしくなってます。完全に自分の自家骨として置き換わるのはこれくらいかかると言うことでしょうね。
患者様のご協力の甲斐もあり、現在もこのインプラントは問題なく患者様のお口の中でがんばって働いてくれています。
インプラントはいわば私の子供達のようで、いつもそそうしていないかと思いをはせております。

その後どこかの本でGBRの骨が自家骨に置き換わるのは3年ほどかかるというのを読んだことがありますが、なるほど、納得です...

お付き合いありがとうございました<(_ _)>

[4.症例の紹介][ケース006] 投稿者 ochan : 00:42 | コメント (0) | トラックバック (733)